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【綾瀬さんのガイド】ゴッホ展に新たな光(6月2日)

2025.06.02 09:14

 来年2月に福島市で開幕する「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」の音声ガイドは俳優綾瀬はるかさんが担う。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後に放映されたNHK大河ドラマ「八重の桜」で、主人公新島(山本)八重を演じて以来、福島に寄り添ってきた。大ゴッホ展と同時期に実施される大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」と連動し、本県復興にまた大きな光をともしてくれるに違いない。

 綾瀬さんは「八重の桜」の制作が決まると、おしのびで会津を訪れ歴史や文化を学んでいたという。番組が終わる直前には、会津若松市内にあった全ての仮設住宅を訪問して避難者を励ました。さらに、放映翌年からは新型コロナ禍の年を除き毎年、特別ゲストとして会津まつりに参加している。今回、大ゴッホ展の音声ガイドを引き受けた背景にも福島への思いがあったのだろう。震災から15年という節目に開催される展覧会について「さまざまな思いを抱えられながら迎えられる年に私も思いをはせ、皆さまお一人、お一人に、周りにたくさんの笑顔が咲くように、幸せを願い、音声ガイドを務めさせていただきます」と心温まるコメントを寄せている。

 大ゴッホ展は、ふくしまDCで全国に提唱する「アートツーリズム」の核となる大事業だ。アートツーリズムは本県の自然や景観も含めた魅力や美しさを「ふくしまアート」として捉え、巡回してもらう試みだ。ふくしまDCに向けた全国宣伝販売促進会議と視察旅行が先月30日まで3日間にわたり県内全域で催された。全国から旅行業者ら約600人が参加した。ぜひ、県内をアートで結んだ魅力ある旅行商品を考えてほしい。

 震災から10年目の節目に計画された前回の東北DCは、新型コロナ禍の影響で十分な魅力発信には至らなかったとの指摘もある。今回、大ゴッホ展の開催時期とふくしまDCが重なった意義は大きい。綾瀬さんの音声ガイドにより、展覧会は国内外から一層の注目を集め、DCとの相乗効果が生まれるはずだ。「八重の桜」は県民を元気づけ、復興に向かう勇気を与えてくれた。綾瀬さんの声によってゴッホ作品はさらに輝きを増すだろう。(関根英樹)

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