福島民報社と福島テレビが共同で実施した県民世論調査で、東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌の再利用について尋ねた。県内での再利用に「賛成」は40・5%、「反対」は35・8%で、賛否が分かれた。「わからない」は23・7%で、理解の醸成も大きな課題となっており、国の発信力強化が求められている。
回答結果は、3月の前回調査時は「賛成」37・0%、「反対」35・2%、「わからない」27・8%で、今回調査と大きな差はなかった。
除染土壌は現在、中間貯蔵施設(大熊、双葉町)に保管されている。中間貯蔵・環境安全事業株式会社法は2045年3月までに除染土壌を県外で最終処分すると定めており、総量を減らすために再利用は欠かせない。ただ、実際には進んでいないのが現状だ。
政府は土壌の再利用や県外最終処分への理解醸成に向け、首相官邸での利用を盛り込んだ基本方針を5月に決めている。
■復興へ国に望む施策 廃炉、処理水対策が最多
復興に向けて国に望む施策について質問した結果、「福島第1原発の廃炉と処理水対策」が31・7%で最も多かった。溶融核燃料(デブリ)の2回目の試験的取り出しが終わるなど、重要な作業が続く原発への関心の高さがうかがえた。
回答結果は「風評・風化対策」13・6%、「帰還困難区域の除染と避難指示解除」10・9%と続いた。「景気経済対策」は9・8%、「人口減少対策」は9・1%だった。
今年度が最終年度となる第2期復興・創生期間後の復興事業や交付金の在り方を問う設問では、「現行の規模や内容を維持すべきだ」が26・0%、「現行よりも規模や内容を強化すべきだ」が25・4%となった。過半数が復興事業の維持・強化を求めている。「現行よりも規模や内容を縮小すべきだ」は14・9%だった。
政府は第2期復興・創生期間後となる2026(令和8)年度から5年間の第3期で、福島県の復興事業規模を1兆6千億円程度と見込んだ復興の基本方針改定案を示している。
■内閣支持率49.0% 前回から2.7ポイント上昇
石破茂首相に対する県民の支持動向も調べた。内閣支持率は49・0%で、前回3月調査時の46・3%から2・7ポイント上昇した。4回連続で40%を超えた。不支持は30・4%。前回調査の25・9%より4・5ポイント高くなった。
◇調査結果 かっこ内は3月の前回調査と比較可能な数字
問1 石破内閣を支持しますか。
支持する49・0%(46・3%)
支持しない30・4%(25・9%)
わからない20・6%(27・8%)
問2 参院選が7月投開票で行われる見通しですが、お住まいの福島県選挙区に関心はありますか。
関心がある78・6%
関心がない11・6%
わからない9・8%
問3 参院選福島県選挙区で投票先を決める際に重視することはどんなことですか。
復興政策6・3%
廃炉・処理水対策6・0%
消費税減税や給付など物価高対策50・7%
教育・子育て政策4・3%
福祉・医療政策14・2%
候補者の所属政党7・4%
その他5・0%
わからない6・3%
問4 政治や選挙に関する情報を得るためにインターネットやSNSをどれくらい利用していますか。
よく利用する7・8%
利用する9・4%
多少利用する18・3%
あまり利用しない31・8%
全く利用しない29・3%
わからない3・4%
問5 昨年秋の衆院選や兵庫県知事選では、ユーチューブなどSNSでさまざまな偽・誤情報が拡散されました。SNSに流れる選挙に関する真偽不明の情報が有権者の投票行動に与える影響についてどう考えますか。
非常に心配している47・7%
多少心配している26・0%
あまり心配していない10・4%
全く心配していない4・5%
わからない11・4%
問6 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に向け、国に一番に望む施策は何ですか。
帰還困難区域の除染と避難指示解除10・9%(8・3%)
福島第1原発の廃炉と処理水対策31・7%(34・2%)
風評・風化対策13・6%(10・7%)
原子力損害の確実な賠償6・7%(9・8%)
農林水産業の振興6・4%(6・8%)
景気経済対策9・8%(9・7%)
人口減少対策9・1%(8・3%)
公共事業0・9%(2・4%)
その他10・9%(9・8%)
問7 震災、原発事故からの復興に向け、今年度が最終年度となる第2期復興・創生期間後の復興事業や交付金はどうあるべきだと考えますか。
現行の規模や内容を維持すべきだ26・0%
現行よりも規模や内容を強化すべきだ25・4%
現行よりも規模や内容を縮小すべきだ14・9%
わからない33・7%
問8 福島第1原発事故に伴う除染土壌の最終処分に向け、政府は放射性物質の濃度が比較的低い土壌を全国の公共工事で再利用する方針を示していますが、除染土壌を福島県内で再利用することは賛成ですか。
賛成40・5%(37・0%)
反対35・8%(35・2%)
わからない23・7%(27・8%)
【調査方法】6月13、14の両日、県内市町村の有権者数に応じて電話帳から抽出した家庭用電話にダイヤルするRTD(ランダム・テレフォンナンバー・ダイヤリング)方式で実施した。704人から完全回答を得た。男女比は男性57・2%、女性42・8%。各設問の回答の割合は小数点第2位で四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。