福島市は熊の市街地侵入を防ぐための忌避音響装置の設置を完了した。市内西部の山あいから中心部への移動経路となる荒川流域の6カ所で稼働させている。29日、現場を公開した。
装置は周囲約15メートルで感知センサーが働き、熊が恐怖を感じたり、嫌がったりするような音を発する。周波数の急激な変化が忌避につながるとされ、「キュルキュル」と鳴る。複数の音やリズムを流動的に組み合わせ、音に慣れるのを防ぐ。
市によると21日午後8時ごろ、市内荒井の設置場所で熊2頭が装置の音を聞き、山に引き返す様子がカメラで確認されている。
市有害鳥獣対策協議会アドバイザーの福島大食農学類の望月翔太准教授の助言を受けて設置した。望月氏はこれまでの運用実験から「音に慣れる様子はない」と長期的な効果を見込む。ただ、8月中旬までの市内の目撃件数は2025(令和7)年度、過去5年間の平均を大幅に上回るペースで推移。望月氏は「装置だけで被害が防げるとは限らない」とし、熊が身を隠すような草木の除去などの対策の徹底を強調した。