福島県白河市の千駒酒造は、酒かすに地元産のみそ、しょうゆをコラボさせた新感覚の調味料を開発した。健康効果が期待される酒かすを手軽にとってほしいとの願いが込められている。今月中に試食会を開き、10月から同社ショップや直売所などで販売する予定だ。
酒かすは日本酒などのもろみを搾ったときにできる白色の固形物。コメとこうじが詰まった発酵食品で、腸内環境の改善や生活習慣病の予防などをもたらすと言われている。新商品は「酒粕みそ」と「酒粕ドレッシング」の2種類。酒粕みそはお湯を注げばみそ汁になるほか、焼きおにぎりやみそカツなどにアレンジが可能。酒粕ドレッシングは洋風、和風どちらにも使える万能型だ。
「できれば毎日、酒かすを摂取したい」という顧客の声を聞き、営業部特販課リーダーの久保田由紀子さん(51)ら女性スタッフ6人が中心となって5年前から調味料づくりに挑戦。市内の根田醬油のみそ、ヤマボシ醬油のしょうゆなどを使い試作を繰り返した。常温と冷温、分量を足したり引いたりしながら昨秋、完成にこぎ着けた。同社の蔵人や杜氏も協力した。
商品名は同社杜氏が話すなまりからイメージし「kasukuubee(かす食うべ)」と名付けた。フランス語の響きにも聞こえ、おしゃれなことから決めた。パッケージなどのデザインも考案した。
久保田さんは「お酒とおつまみのマリアージュ(結婚)を楽しんでもらえれば」と話している。桜井慶社長(58)は「地域の発酵業者が協力してできた商品。広く発信したい」と語り、ヤマボシ醬油の大槻安生社長(68)と根田醬油の鈴木豪彦専務(45)は「発酵食品に興味を持ってもらうきっかけになれば」と口をそろえる。
いずれも630円(税別)。9月13日と同20日の午前11時から午後2時まで、市内年貢町の千駒ショップで試食会を開く。両日とも先着100人に商品サンプルをプレゼントする。問い合わせは千駒酒造へ。