福島県会津若松市は市内河東町八田字北生井に整備する新工業団地について、16ヘクタールを計画していた開発面積を倍の30ヘクタールに拡大する。コロナ禍の影響による事業者のサプライチェーン(供給網)を見直しと災害リスクに備えようとする企業の需要増などに対応するため、当初計画を変更した。市が4日、市議会全員協議会で示した。
市によると、7月末時点で新工業団地に関心を示すのは県内外の16社に上る。面積換算で、当初計画を大きく上回る計33・5ヘクタール程度の利用が見込まれる。市によると、背景にはコロナ禍で混乱したサプライチェーンの見直しに向けた機運の高まりや国内生産体制の再強化などの動きがある。南海トラフ巨大地震などの津波発生を念頭に、内陸部への立地を検討する企業も増え、全国的に工業団地の引き合いが強まっている。室井照平市長は市内が進出先として挙がっている理由について「企業が地政学的なリスクに備える中で、自然災害が少ない地域と見ているようだ」との見解を示した。
市内ではコロナ禍の影響で製造業従業員数が減少する課題も生じた。新工業団地の開発面積を拡大し、企業立地の受け皿を充実させることで従来の計画を上回る1500人の雇用創出を目指す。
市は当初計画で分譲開始を2029年度、概算事業費を24億8050万円としており、全員協議会では議員から今後の手続きや事業費への影響をただす声が上がった。市は今後、計画を改定し、新たなスケジュールや事業費を示す方針を説明。事業区域が農地のため、県と協議した上で農振除外と農地転用の手続きを進める。