小説「ゲーテはすべてを言った」で第172回芥川賞を受けた福島県郡山市出身の作家鈴木結生さん(福岡市在住)は8日、県庁を訪れ、内堀雅雄知事に受賞を報告した。
鈴木さんは「(小学5年まで)10年間、福島にいて、古里だという感覚がある。今いる福岡よりも福島県民に受賞を喜んでいただいたような気がしてありがたい」と県民に対する感謝の思いを口にした。
受賞作について「本を読むのが楽しいという気持ちだけでできている小説と言っても過言ではない」と断言。当初は「読書が好きな人に刺さればいい」と思って書いたが、郡山市で開いたサイン会に普段は本をあまり読まない人も足を運んでくれたと明かした上で「思いもよらず賞を頂き、普通だったら届かなかった人にも作品を読んでもらえた。これからも長くお付き合いできたらなと思う」と述べた。
自身もファンだと言う内堀知事は「改めて古里におかえりなさい。受賞作が完成するまで、どれだけ多くの本を読み込み、再構築してまとめたのか…。そのプロセスを思い、襟を正して読ませていただいた」と語りかけた。