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福島県広野町の広野火発2号機廃止へ 税収、雇用など影響か 今年度内にも稼働終了

2025.09.11 10:52

 東京電力と中部電力が出資する発電会社JERA(ジェラ)が、広野火力発電所(福島県広野町)の2号機(最大出力60万キロワット)の稼働を今年度内にも終え、廃止する方向で調整しているもようだ。10日、複数の関係者への取材で分かった。2号機は廃止済みの1、3、4号機と同様、重油・原油を燃料とし、廃止されれば同火発から石油を燃料とするプラントはなくなる。廃止に伴う町の税収面、地域の雇用面などへの影響が注目される。


 広野火発は1980(昭和55)年に1、2号機の運転を開始した。発電能力を順次高め、首都圏などに電力を供給してきた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生後はいち早く復旧し、首都圏の電力不足解消に貢献した。

 2号機は2020(令和2)年に長期計画停止に入ったが、2023年夏に東電管内の電力需給の逼迫[ひっぱく]対策として運転を再開した。その後も需給状況に応じ、稼働を続けてきた。一方、1、3、4号機(計260万キロワット)は設備の老朽化などを理由に2023年に廃止した。2号機の廃止も老朽化や脱炭素の世界的な流れを受けた動きとみられ、JERAが近く発表するもようだ。

 町は広野火発や、三菱グループと東京電力ホールディングスでつくる「広野IGCCパワー合同会社」が同火発構内で運転する石炭ガス化複合発電(IGCC)発電所から大規模償却資産税を得ている。発電所の立地に伴う税収を主要な財源とし、国の地方交付税を受け取らずに財政を運営できる「不交付団体」となってきた。

 近隣地域や関連事業所を含む雇用の受け皿としての役割も大きく、2号機と1、3、4号機の設備が撤去されれば、財政や地域経済への影響が懸念される。町は1、3、4号機の廃止を受け、プラントの跡地を二酸化炭素(CO2)を排出しない発電プラントの研究・実証に活用するよう望んできた。今後は2号機の対応とともに、石炭を燃料として稼働している5、6号機を含めた施設全体の在り方が注目される。

 県内では広野火発の他、南相馬市で東北電力、いわき市で常磐共同火力、新地町で相馬共同火力発電の火力発電所が稼働を続けている。