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福島県内高齢化率34.2% 8月1日現在過去最高更新 6町村50%超え2市町新たに40%台

2025.09.15 10:17
【表】
【図】

 福島県人口に占める65歳以上の高齢者の割合「高齢化率」は8月1日現在で34・2%(前年同期比0・4ポイント増)となり、統計開始以降で過去最高を更新した。金山、川内、昭和、三島、西会津、下郷の6町村が50%を超え、田村市と会津坂下町が新たに40%台に突入した。喜多方、南相馬、伊達などの中規模市は30%後半で40%台が目前。一方、県人口に占める年少層(0~14歳)の割合は県全体で10・5%と1桁台が間近に迫る。県が15日の「敬老の日」に合わせて発表した。

 65歳以上の高齢者は57万7609人(前年同期比564人減)だった。公表対象の54市町村全てが、高齢化率21%以上の「超高齢社会」に該当した。少子高齢化社会での地域の活力維持が課題となっている。

 福島、いわき、郡山など人口10万人超の都市部は高齢化率が20%後半~30%前半で緩やかに推移する一方、喜多方、南相馬、伊達などの中規模市は30%後半で、地域差が生じている。

 生産年齢人口(15~64歳)に対する高齢者の割合「老年人口指数」は62・0%(前年同期比1・1ポイント増)だった。70歳以上が26・2%(前年同期比0・5ポイント増)で、75歳以上が18・6%(同0・8ポイント増)、80歳以上が前年同期と同じ11・4%となった。

 県全体の高齢化率34・2%は、国立社会保障・人口研究所の推計値と一致する。このまま推移すれば、団塊ジュニア世代が65歳上となる2040年には高齢化率の県平均は40・3%となり、生産年齢層は51%、年少層は8・7%に落ち込むと県などはみている。

 市部で唯一高齢化率が40%を超えた田村市の高齢福祉課の担当者は「元気で自立した高齢者が増え、地域の活力につながる可能性を秘めているということ」と受け止めた。70歳以上に、運動施設やタクシー運賃の支払いに活用できる利用券を配布し、外出の機会を確保する取り組みなどを展開している。

 40%越えが迫る市町村は、健康寿命の延伸などに活路を見いだす。喜多方市は県、福島医大と共同で開発した「太極拳ゆったり体操」を推進し、身体能力の維持を促している。伊達市は配食サービス事業を取り入れ、高齢者の安心感を醸成している。


■市町村別最高は金山60.3% 川内57.2%、昭和56.8%と続く

 市町村別に見た65歳以上の高齢化率は【表】の通り。60・3%の金山町が最も高かった。57・2%の川内村、56・8%の昭和村が続いた。最も低かったのは27・6%の西郷村。鏡石町、大玉村が29・2%、郡山市が29・5%だった。

 高齢化率の状況は【図】の通り。高齢者数は各市町村に住んでいる人口をまとめた直近2020(令和2)年の国勢調査結果を基に、市町村に提出された転入・転出などを加味して推計している。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示区域が設定された地域では、推計値と実数が乖[かい]離[り]している場合があり、富岡、大熊、双葉、浪江、飯舘の5町村は非公表としている。

 県は地域の活力維持を目指し、高齢になっても住み慣れた地域で暮らし続けられる「地域包括ケアシステム」の構築に力を入れている。住まいを中心に、30分以内を目安に地域活動や医療などが提供される生活圏を整備する。県は課題解決に向け、市町村に専門家を派遣する事業を始めた。「人とのつながりを大切に、生きがいを持って過ごせる体制づくりを支援していく」(県健康づくり推進課)としている。