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【ギャンブル依存症】予防、回復に支援を(9月26日)

2025.09.26 09:11

 政府はギャンブル依存症の対策推進基本計画を改定し、競馬や競艇など公営競技の投票券購入オンライン化への対応を盛り込んだ。インターネットを介せば、場所を選ばずに金銭を賭けることができ、依存症につながりやすいと指摘されている。ギャンブル依存症は、誰もがなり得るという認識を改めて社会で共有し、予防や症状の回復に向けた支援の輪を広げたい。

 ギャンブル依存症は、世界保健機関(WHO)が疾病として分類し、専門的治療には公的医療保険が適用される。対策基本法は、ギャンブルにのめり込んで日常生活、社会生活に支障が生じている状態と定義している。深刻になれば、多重債務や貧困を引き起こし、自殺やDV、虐待などの要因になる。日常のストレスや生きづらさの苦痛から逃れようとして依存行動を繰り返していくうちに症状が進行するという。国の調査では男性の3・7%、女性の0・7%で依存が疑われるとされた。県はこの数値を基に県内では約3万3千人が該当すると推計している。

 政府によると、新型コロナ禍を経て、現在では公営競技の売り上げの8~9割をネット投票が占めている。手軽に楽しめるようになった半面、依存に陥ってしまう環境が生まれやすくなったとも言える。県精神保健福祉センターに寄せられる相談でも、オンライン利用に伴うギャンブル依存の案件が増えているという。スマホを使って投票を重ね、家族が気づかないうちに多額の借金を背負っていた事例が報告されている。ネット投票で預金が底をつき、借金を重ねて続けたケースもあったという。

 改定された国の基本計画では、本人や家族が望む場合、ネット投票の利用を停止する「アクセス制限」や「購入限度額設定」制度の活用促進を新たに具体的取り組みとして掲げている。競技主催者は既にアクセス制限などを始めており、制度の一層の周知などが求められている。

 県は国の改定を踏まえ、現行の対策推進計画の見直しを検討していく方針だ。オンライン投票の利用者向けの啓発活動をはじめ、交流サイト(SNS)を活用した情報提供や相談窓口開設など県独自の対策も新計画に盛り込んではどうか。(佐久間裕)