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【芸術の秋】明日への活力に(9月29日)

2025.09.29 10:05

 アートは暮らしに潤いや生きがいをもたらす。地域ににぎわいを生むエネルギーもある。「芸術の秋」に合わせ県内ではさまざまなイベントなどが用意されている。会場に足を運び、企画への参加を通じ明日の活力を蓄えたい。

 県とチャレンジふくしま県民運動推進協議会は、ふくしまアートスタンプラリーを来年3月1日まで繰り広げている。県内の美術館や博物館、歴史民俗資料館などの施設のほか、歴史・伝統文化、食なども幅広くアートと捉え、各施設を巡ってスタンプを集めると、大ゴッホ展のグッズセットや県内宿泊券などが当たる。アニメ美術監督故山本二[に]三[ぞう]さんの手描き背景画などを集めた郡山市立美術館の企画展は11月9日まで。「天空の城ラピュタ」や「火垂るの墓」など人気作品の世界に触れられる。

 芸術や音楽でにぎわいを生む「Happy Island 浜通りアーツ2026」は10月に始動する。歌手の石井竜也さんや東日本国際大総長の吉村作治さんらが「未来へ紡ぐ夢」をテーマに写真や歌などの素材を全国から募って作品に仕上げ、来年8月に県内でお披露目する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から復興へ歩む地域を盛り上げるために、県民も積極的に応募してはどうか。

 いわき市ゆかりのノンフィクション作家川内有[あり]緒[お]さんの単行本「ロッコク・キッチン」は11月20日ごろ発刊される。震災後の浜通りで暮らす人々の「食」に焦点を当てた。2023(令和5)年から国道6号を舞台に、映画監督らとともに、文学や映画を生み出してきた。帰還者や移住者を問わず取材を重ねて文芸誌に連載し、東急文化村主催のドゥマゴ文学賞に選ばれた。同名の映画作品は10月、「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で披露され、県内会場を含む来年の全国公開を目指し準備中だ。発災から来年3月で丸15年を迎える。風化が懸念される中、被災地の実相を伝える表現の力に注目したい。

 会津若松市にオープンした「アートセンター」では、参加者が撮影した写真を披露し合う企画などさまざまなワークショップを通じて芸術を楽しむ機会が生まれた。県民それぞれが自分に合ったアートを見つけよう。(神野誠)