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JR只見線全線再開通、10月1日で3年 福島県金山町大塩地区には乗客招く名物かかし

2025.09.30 11:02
かかしで沿線地域を盛り上げる決意を新たにする篤さん
「サコッシュを旅の友にしてほしい」と語る大竹さん(左)ら

 JR只見線は10月1日に全線再開通から3年を迎える。福島県金山町大塩地区の住民有志でつくる「只見線復興応援かかし会」は沿線に手作りかかしを飾り、乗客を楽しませている。「今にも動き出しそう」と話題で名物として定着しつつある。会長の伊藤篤さん(80)は「ようやく日の目が当たってきた。乗客に『来て良かった』と思ってほしい」と話している。

 かかし会は昨春、10人で発足。会津大塩駅前や線路沿い、国道252号沿いに約50体を展示している。伊藤さんが木材などで骨格を組み、妻恵子さん(71)が菓子や調味料の袋などで胴体を作る。衣装には主に住民から譲り受けた古着を使い、中には踊りで使われていた着物もある。年に数回衣替えして「身だしなみ」に気を配る。車窓から表情が分かるよう、目をくっきり書き入れるなど細部まで工夫を凝らしている。町の公式キャラクター「かぼまる」のかかしは旧金山小のオレンジ色の体操着を再利用し、人気を集めている。

 設置当初は「怖い」などの反応もあったが、最近は写真撮影に訪れる人が現れるなど徐々に浸透しているという。夫妻は1日、会津大塩駅前で同志と一緒に3周年記念の特別列車に手を振り、節目を祝う。

 只見線は2011(平成23)年7月の新潟・福島豪雨で橋が流出するなどして運休を余儀なくされた。県が線路や駅舎を保有・管理し、JR東日本が運行する「上下分離方式」を採って2022(令和4)年10月に復活した。篤さんは「只見線を応援したい。体が動く限り、かかしを作り続ける」と沿線地域を盛り上げる決意を新たにしている。


■3周年で乗客に記念品や甘酒をプレゼント

 只見線の沿線自治体は10月1日、3周年記念の特別列車の到着に合わせて乗客らに記念品などを贈る。

 金山町は特製サコッシュを配る。町出身の色鉛筆画家大竹恵子さんが2種類のイラストを描き下ろした。250個限定で白と黒の2色展開。サイズは縦18・5センチ、横16センチ。会津川口駅で普通乗車券や急行券、定期券の購入者、列車通学の高校生にも配布する。配布時間は午前7時50分~午後3時40分。大竹さんは「普段使いできるように只見線をさりげなく描いた。肩から提げて奥会津を楽しんでほしい」と呼びかけている。

 只見町インフォメーションセンターは乗客に甘酒を振る舞う。柳津町は乗客に赤べこのストラップ、ステッカーをプレゼントする。