東日本大震災アーカイブ

安倍自民総裁 第一原発など視察 「原子力推進を反省」 双葉郡の首長と会談

双葉郡内の首長らと会談する安倍総裁(左手前から3人目)

 自民党の安倍晋三総裁は3日来県し、東京電力福島第一原発と被災地を視察した。双葉郡内各町村の首長、議会議長らと会談し、「首相経験者として安全神話の下で原子力政策を推進したことを反省する」と語り、国の責任で放射性廃棄物の中間貯蔵施設を整備し、除染を加速させるべきとの考えを強調した。
 安倍総裁は避難区域見直し、県民の健康管理態勢づくりに国が前面に立って取り組み、復興を進めることが必要との見解を示した。
 席上、双葉地方町村会長の井戸川克隆双葉町長、双葉地方町村議会議長会長の吉田数博浪江町議会議長が両会連名の要望書を安倍総裁に提出。国の責任で原発事故の完全収束、被害の全額賠償に取り組むことや、復興に向けた具体的施策の策定を求めた。
 福島第一原発では、東電側から廃炉に向けた作業の進捗(しんちょく)状況などの説明を受け、作業員らを激励。バスで構内を移動しながら各施設を視察した。
 安倍総裁は、相馬市の災害公営住宅「相馬井戸端長屋」で入居者と懇談した。南相馬市小高区役所で市や団体関係者から要望を受けた。
 相馬井戸端長屋では立谷秀清相馬市長から施設の説明を受けた。入居者に対し「共同生活で生活を再興してほしい。国も支援に努めなければならない」などと考えを示した。
 小高区役所で安倍総裁は「復興に向けた政府の対応が遅い。前面に立って市町村と連携し、加速させるべき」とあいさつし、政権を奪還し復興政策を進める決意を示した。桜井勝延南相馬市長が常磐自動車道の全線開通、効果的な除染技術導入などを求める要望書を提出した。
 続いて、警戒区域内に入り、津波で甚大な被害を受けた浪江町請戸地区で献花。馬場有浪江町長らに原発事故発生当時の避難状況などを聞いた。記者団に対して「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で正しい情報を得ていれば、(住民の)対応は違った」と述べ、原発事故直後の政府対応を批判した。
 安倍総裁は視察終了後、記者団の取材に応じ、今後のエネルギー政策について「中長期的には原子力の比率を下げていくべき。再生可能エネルギーの技術革新を国が支援し、代替えしていくことが大切」と、原子力に代わるエネルギー確保に向けた支援策の重要性を強調した。
 福島第一原発の視察を踏まえ、廃炉の作業について「大変難しいと実感している。科学技術を結集する必要がある」と語った。震災と原発事故からの復興を「あまりにも遅すぎる。復興庁を設けたのに、縦割り行政を続けていることが原因」と指摘した。
 民主、自民、公明の3党党首会談について「野田首相は近いうち解散すると約束していた。約束を守ってくださいと申し上げようと思っている」と、早期解散を求めていく意向を示した。

カテゴリー:福島第一原発事故