東京電力福島第一原発事故で計画的避難区域となった福島県飯舘村は9日、全村民約6500人の避難計画を県に提出した。同日、村議会災害対策特別委員会の了承を得た。住民の意向調査を踏まえ、村があっせんする避難先として県北地方を中心とする7市町村に、1次、2次避難合わせて1014戸を確保した。今週末にも乳幼児や妊産婦がいる世帯を優先に避難を始める。
村は(1)乳幼児・妊産婦がいる世帯と園児がいる世帯(2)18歳未満の小中高校生がいる世帯(3)放射線が高い比曽、長泥、蕨平の世帯(4)その他-の優先順位に基づき避難先を決めた。
乳幼児・妊産婦らがいる世帯は、病院が近い福島市吉倉の財務省住宅や飯坂温泉の旅館に41戸、園児がいる世帯は同市吉倉や荒井の財務省住宅などに83戸を確保した。
小中高校生がいる世帯は福島市の県自治研修センターやJRA福島競馬場官舎、猪苗代町のプルミエール箕輪などに198戸、村内で放射線が高い108世帯については福島市の土湯と猪苗代町の中ノ沢両温泉の旅館などを避難先とした。
それ以外の世帯は、県があっせんする借り上げ住宅など450戸、相馬市70戸と国見町34戸の仮設住宅などで対応する。
旅館などはあくまで1次的な避難先で、2次避難先となる仮設住宅や借り上げ住宅の準備ができ次第、転居してもらう。この他、今月末には福島市で500戸の仮設住宅の建設が着工する予定で、7月初めには入居できる。
村は所在確認ができていない世帯の分を含め2次避難に約1370戸が必要としているが、確保した仮設住宅、借り上げ住宅は約1250戸。今後、不足分の約120戸の確保に努める。村民自らが手続きして入居した民間賃貸住宅などは、県の借り上げ住宅として取り扱うよう村が手続きをする。
川俣町に開設した幼稚園、小中学校は当面残し、スクールバスなどで可能な限り通学できるようにする。
菅野典雄村長は「仮設住宅が完成すれば行政区などがまとまることは可能だ。コミュニティーづくりには仕事が必要。土壌改良などの仕事を通して村民が夢が持てるよう国に要望していく」と語った。
(カテゴリー:福島第一原発事故)