東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の警戒区域にある川内村の住民54世帯92人が10日、一時帰宅した。同区域の9市町村で初めて。約2時間の滞在時間で、貴重品、衣類などを持ち出した。
参加者は防護服などを着用。バス5台で出発し、班ごとに自宅に戻った。滞在の後、中継基地でスクリーニング検査を受けた。個人の累積放射線量は最低1マイクロシーベルト、最高10マイクロシーベルトで、除染が必要な人や荷物はなかった。女性3人が体調不良を訴えたが、すぐに回復した。
スクリーニングの待ち時間が長くなるなど課題もみられ、政府の原子力災害現地対策本部は今後の一時帰宅がより円滑に進むよう、組織や住民への周知方法などの見直しを進める。
12日には葛尾村が初めて、川内村が二度目の一時帰宅を行う。残りの警戒区域がある市町村は13日からコールセンターで希望を募り、今月中旬以降の実施を目指す。
■政府、定期的実施を検討
政府の原子力災害現地対策本部は避難住民から要望の多い定期的な一時帰宅の実施や農機具の持ち出しを検討する。池田元久本部長(衆院神奈川6区)が終了後、方針を示した。
池田本部長は「課題を改善するとともに住民の要望にできる限り応えていきたい」と述べた。
【写真】川内村の自宅に戻り、運び出す荷物を入れる住民=10日午後1時20分ごろ(代表撮影)
(カテゴリー:福島第一原発事故)