東日本大震災アーカイブ

「薩長」が本県観光にエール  「苦しい思い分かち合いたい」

 143年前の戊辰戦争で会津と戦った鹿児島県「薩摩」と山口県「長州」の観光関係者が6日、福島県会津若松市の鶴ケ城を訪れ、原発事故による風評被害で苦しむ本県の観光産業にエールを送った。
 鹿児島県と山口県の観光連盟は2年前に「薩長盟約」を結び、交流している。応援企画はJTBグループの仲立ちで、JTB協定旅館ホテル連盟鹿児島支部と同山口支部の関係者約60人が鶴ケ城に集まった。
 鹿児島支部の中原国男支部長は口蹄(こうてい)疫や鳥インフルエンザ、新燃岳の噴火に見舞われた経験を話し「苦しい思いを分かち合いたい」とあいさつ。山口支部の宮川力副支部長は「一日も早い会津の復旧・復興を心から念じている」と激励した。
 会津若松観光物産協会の渋谷民男統括本部長が「皆さんの支援を心の糧として頑張っていく」と、両支部の代表に記念品の赤べこを贈った。同連盟福島支部の畠隆章支部長は本県観光業界の厳しい現状を説明し、遠方からの支援に感謝の気持ちを伝えた。
 会津若松市では戊辰戦争での会津藩の悲惨な歴史を踏まえ、「薩摩」「長州」を強調した応援に複雑な思いを持つ人もいる。会場を訪れた元市長の早川広中白虎隊記念館長は「市長だった24年前、山口県萩市と姉妹都市締結の話があったが、当時は旧制会津中学の卒業生のほとんどが反対で見送った。時代は先に進まないといけない」と、支援を歓迎していた。

カテゴリー:福島第一原発事故