県は津波で甚大な被害を受けた漁業者支援の第一弾として漁場に堆積したがれきの撤去費用を全額補助し、漁師が共同利用する漁船建造費の一部を補助する。6月定例県議会に提出する平成23年度一般会計補正予算案に関連事業費約37億円を盛り込んだ。がれきによる魚介類への影響を解消するとともに、漁業者の操業再開を後押しする。
がれきの撤去には約22億1千万円を計上した。東京電力福島第一原発事故で警戒区域となっている市町村を除いた漁場で7月から本格的に始める。作業は県が県漁連や各漁協に委託し、組合員らが1日約900人体制で、沖合数キロの地点と沿岸部で作業に当たる。年内にも終了させる予定だ。
津波で海底に堆積しているがれきについては、相馬市松川浦のノリやアサリ、いわき市小名浜のウニ、アワビなど魚介類の生育への影響が懸念されており、県は早急な撤去が必要と判断した。
共同利用の漁船建造費の一部補助は希望した漁協が対象で、事業費は約14億8900万円。各漁協が漁船を建設して組合員に貸し出す場合、国と県が建設費の三分の二を補助し、漁協が三分の一を負担する。漁協が漁業者に貸し出して共同で使用する仕組みだ。貸出料は各漁協で決める。
県に登録されている1173隻の漁船のうち、震災の津波により873隻が損壊し、このうち350隻は修繕することができない全壊状態となっている。県は漁業者からの要望などを受け、漁船約120隻の建造を想定している。
県漁連は県の取り組みを歓迎しながらも、漁船建造の三分の一を県漁連側が支出することに「負担軽減を図ってほしい」と求めている。
県は今後、漁業の操業再開に向け、いわき市や相馬市、県漁連などと連携し、市場機能の復旧にも取り組む。原発事故に伴う海洋のモニタリング調査も強化する考えだ。
(カテゴリー:福島第一原発事故)