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放射性汚泥満杯 県内上下水処理施設 高濃度、どう処分

空きプール内に仮置きされた汚泥入りの袋。プールは今月上旬に約1000トンの汚泥で満杯になった=国見町・県北浄化センター

 上下水処理施設の汚泥から放射性物質が検出された問題で、県内の施設で処理できない汚泥がたまり続け、対応に苦慮している。県の県北浄化センター(国見町)では、汚泥を仮置きする仮設テントの設置場所の確保さえ困る状況で、夏場を迎え、腐敗による悪臭も懸念されている。一方、高濃度の汚泥を抱える施設では「厳戒態勢」での管理が続き、関係者からは「もう限界だ」と悲鳴が上がっている。

 県北浄化センターを管理する県下水道公社によると、センターは福島市の一部と伊達、桑折、国見の各市町の生活排水を処理し、1日に40トン近い汚泥が発生する。1トンずつビニール製の袋に詰めて仮置きしているが、県内の下水処理施設で最も多い約1200トンに達している。

 仮置きしていた汚水処理プールの空きスペース約640平方メートルは、今月上旬に満杯に。地中に浸透しないよう、舗装した駐車場に一張り約240平方メートルの仮設テントを設置して保管しているが、今月中にも4張り目がいっぱいになる。新たにテントを設置する場所がなくなり、苦肉の策として先週から約700万円掛けて舗装面の拡張工事に入った。

 大量の汚泥から出る悪臭にも頭を抱える。消臭剤をまいてもにおいが消えず、公社職員が詰める管理棟の窓が開けられないほどだ。夏場を迎え、気温が上がれば、さらに腐敗が進み、においが敷地外に漏れ出す懸念も出ている。

 一方、政府は今月中旬、放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の汚泥は埋め立て処分できるとの基準を示した。センターの汚泥は1キロ当たり1000ベクレル程度で、国がコメの作付けを容認する土壌の暫定基準の5000ベクレルよりも低いにもかかわらず、処分のめどが立っていない。

 センターの設置者である県は産業廃棄物処理業者に処分を打診しているが、処分場を所有する業者と地元住民との間の調整が進んでいないためだ。

 産廃業界の関係者の1人は「低濃度でも放射性物質を含んでいる以上、埋め立てる場合、最終処分場周辺の住民や行政の理解が不可欠。そう簡単ではない」と実情を明かす。

 センターの紺野禎紀所長(56)は「すぐにでも搬出したい。地元住民に申し訳ない。国は基準を示すだけでなく、責任を持って処分まで主導すべきだ」と訴えている。

   ◇  ◇

 県によると、県内の下水処理施設は県、市町村立で62カ所あり、各施設とも汚泥がたまり続けている。他に浄水施設24カ所、農業集落排水処理施設183カ所、し尿処理施設23カ所でも発生した汚泥処分が先送りされている。

 県の県中浄化センター(郡山市)では、県北浄化センターの2倍の1日約80トンの汚泥が発生するが、このうち約70トンは溶融施設で燃やして約2トンに減量化しているため、仮置き量は約800トンに抑えられている。

 溶融施設は県内では同センターと、いわき市の施設の2カ所にしかない。センターでは70トンの処理が限界で、他の施設の汚泥までには手が回らないという。燃やしてできる「溶融スラグ」の対策も課題になっている。放射性物質が濃縮されるためで、これまでに一キロ当たり33万4000ベクレルを検出した。夏までに仮置きしている施設を密閉化する工事に入る方針だ。

 作業員は防護服を身に着け、積算放射線量を個人単位で管理するなどの対応も強いられている。センターを管理する県下水道公社は職員の安心を確保するため、健康診断を前倒しして実施することも決めた。

 福島市が設置する堀河町終末処分場は、雨水も処理対象に含まれているため、汚泥から44万6000ベクレルの高濃度の放射性物質が検出された。1日約10トン発生する汚泥は袋に詰めて敷地内のコンクリートに囲まれた穴の中に積み上げられている。現段階で約70トンに達し、あと半年程度で満杯になるという。

 政府は10万ベクレルを超える汚泥の処分方法を示していない。市幹部の1人は「半年過ぎればどこかに捨てなければならない。それまでに処分方法が決まるのか」と不安を口にする。

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