東日本大震災アーカイブ

東電新旧社長が謝罪 いわきなど6市町村長に

【写真】渡辺市長(左)から申し入れ書を受け、頭を下げる西沢社長(中央)、清水前社長(右)

 東京電力の西沢俊夫社長と清水正孝前社長は30日、いわき市と、福島第一原発事故で役場機能を移転している広野、大熊、葛尾、富岡、川内の6市町村を訪問し首長らに謝罪した。
 いわき市では、渡辺敬夫市長と事故後初めて会談した。西沢社長が「多大なご迷惑をお掛けして申し訳ありません。心からおわび申し上げます」と述べたのに対し、渡辺市長は「対応は遺憾に思っており、憤りを感じている」と怒りをぶつけた。その上で、「一日も早く原発事故を収束させ、補償への対応も随時やってもらいたい」と求め、西沢社長に申し入れ書を手渡した。
 会津若松市の大熊町役場会津若松出張所では、渡辺利綱町長、石田忠文議長らが出迎えた。渡辺町長は「原発とは40年間、共生してきた。非常に残念だ。町民は一日でも早く帰れることを願っている。早期収束のほか、雇用や補償問題にも迅速に対応してもらいたい」と訴えた。
 郡山市のビッグパレットふくしまに役場機能を置く富岡町の遠藤勝也町長と川内村の遠藤雄幸村長はそれぞれ同施設で訪問を受けた。
 遠藤町長は「初期対応や地震への対応の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈した」と指摘した上で、1万6千町民の願いとして「恵まれた環境の富岡町に戻してほしい。社運を懸けて最善の努力をしてほしい」と求めた。2回目の仮払金の速やかな支払いも要望した。
 遠藤村長は原発の安定状態がスタート地点として、「信頼回復のためにも最高のパフォーマンスを見せてほしい」と激励した。
 面談後、西沢社長は記者団の取材に応じ、各首長から「一日も早い事故の収束」「しっかりした賠償」の2点を強く求められたと語った。2回目の仮払いについては「来週中に公表したい」と話した。
 ビッグパレットふくしまでは富岡町の避難者が西沢社長や東電社員に詰め寄り、説明会開催を強く求める場面があった。
 西沢社長、清水前社長は1日、田村、南相馬、川俣の3市町と二本松市内の浪江町役場、福島市の飯舘村役場を訪問する。

カテゴリー:福島第一原発事故