東京電力福島第一原発事故で、政府の原子力災害現地対策本部は30日、伊達市4地区の住居104地点(計106戸、113世帯)を局地的に放射線量が高い「ホットスポット」に当たるとして、住民避難を促す特定避難勧奨地点に指定した。年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えると推定される住居を中心に、隣家と妊婦・子どものいる住居を加えた。住居を単位にした避難地点の指定は初めて。
勧奨地点は地番で指定したが、霊山町下小国地区で同一地番に2戸建物がある地点が2カ所あり、戸数は106となった。同町の下小国地区は49地点(54世帯)、上小国地区は30地点(32世帯)、石田宝司沢地区は19地点(21世帯)、月舘町相葭(あいよし)地区は6地点(6世帯)となった。
伊達市では、現在の放射線量が毎時3・2マイクロシーベルト以上の場合、原発事故発生から1年間の積算放射線量が政府の避難の目安である20ミリシーベルトを超えると推定。毎時3・2二マイクロシーベルトを基準値に据え、今月11、12の両日に行った現地調査で基準値を上回った下小国16地点(17世帯)、上小国7地点(7世帯)、石田6地点(6世帯)、月舘2地点(2世帯)の計31地点(32世帯)を勧奨地点に決めた。
その上で、基準値は下回っているものの、これらの住居に隣接しているケースや、放射線の影響を受けやすい妊婦と小学生以下の子どもがいる73地点(81世帯)を加えた。石田宝司沢地区は当初、5地点程度を指定する方針だったが、妊婦や子どもが多いことが分かり指定地点が増えた。
現地対策本部は今後、月1回の割合で4地区内の線量を調査し、1年間の積算線量が20ミリシーベルトを下回ると推定された場合は指定を解除する。
勧奨地点の避難者は警戒区域、計画的避難区域と同様、国民健康保険の負担金や国民年金の保険料が減免される。ただ、避難に伴う経費や精神的損害などへの賠償は未定となっており、現地対策本部は、7月中旬にまとまる損害賠償の中間指針に勧奨地点の避難者への対応を盛り込むよう原子力損害賠償紛争審査会に働き掛ける方針。
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