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11世帯が避難希望 一部で高線量のいわき市川前荻、志田名 愛する古里...複雑な思い

少しでも放射線量を下げようと家屋にホースで水をまく大越さん。60年過ごしたわが家から避難する日が迫る

 福島県いわき市は、一部で高い放射線量が測定されている市内川前町下桶売の荻、志田名両地区の住民から避難希望を受け付け、14日までに11世帯が申し込んだ。
 今月下旬にも市内の教員住宅、雇用促進住宅に引っ越す。避難する住民らは複雑な思いで住み慣れた地を離れる。
 「ここは空気と水がおいしいってことが、自慢だった。それが汚されて...。何も自慢するものがなくなった」。志田名に住む大越幸子さん(67)は寂しそうに笑った。夫利男さん(70)と市内の常磐地区に避難することを決め、13日に避難を申し込んだ。約60年間住み続けたわが家を離れるが、「原発事故が収束したら戻れる」と自分に言い聞かせる。
 自宅周辺の放射線量が高いことが分かったのは4月下旬。近所の人が購入した線量計で測定したところ、毎時3マイクロシーベルト前後の高い数値が出た。風が吹いた時は毎時7マイクロシーベルトまで数値が上がることも。
 8人家族として一緒に暮らしていた娘夫婦と孫たちは、家が原発事故の屋内退避区域になった時に避難を決め、5月中旬に市内の別地区に引っ越した。その時点では夫と2人で家を守るつもりだった。しかし、連日、高い放射線量の測定結果を聞くうちに「怖い」という思いが膨れ上がった。少しでも放射線量を減らそうとホースで水をまき、自宅を「除染」するのが日課になった。
 幸子さんは5年前から民生委員を務め、地区の高齢者宅を定期的に訪ねている。震災後、お年寄りはこれまで以上に不安な思いで暮らしていると実感する。「お互いに泣き顔にならないように」と自身の不安を押し殺し、笑顔で訪問を続けている。
 避難した後も定期的に川前地区に戻るつもりだ。「ここに残ることを決めている人もいる。自分が訪問することが少しでもみんなの励みになれば」。離れても仲間を思う気持ちは変わらない。

カテゴリー:福島第一原発事故

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