東日本大震災アーカイブ

3キロ圏内、一時帰宅検討 お盆過ぎにも、原発相

 東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の警戒区域で、これまで認められていなかった半径3キロ圏内の大熊、双葉両町への一時帰宅がお盆過ぎにも実施される見通しとなった。細野豪志原発事故担当相は6日、佐藤雄平知事との会談で、3キロ圏内の一時帰宅を検討する考えを示した。対象は約500世帯、約1300人に上る。政府は放射線量測定により住民の安全を確保した上で、一時帰宅を実施する方針だ。
 細野氏は一時帰宅の要望が多数寄せられている現状を佐藤知事から伝えられたことを明かし、「住民の安全を大原則に、一時帰宅の可能性を本格的に検討しなければならない時期に来ている」との考えを示した。その上で、「原発は安定化してきたが、放射線量が高い地域がある」との課題を挙げた。
 政府は、警戒区域内への一時帰宅の積算放射線量(5時間)を1000マイクロシーベルト以内と設定している。今後、3キロ圏内の放射線量測定を実施し、基準を下回れば、お盆過ぎにも住民の一時帰宅を許可するとみられる。
 3キロ圏内の一時帰宅が実施される見通しとなったことについて、渡辺利綱大熊町長は「町民の要望が多く、国にも再三にわたって求めてきた。正直ほっとした」と感想を述べ、井戸川克隆双葉町長は「一時帰宅の実現が前進したことを評価する。速やかに実施してほしい」と求めた。
 警戒区域内への一時帰宅は、5月10日から始まった。これまでに9市町村の1万6817世帯、2万8532人が一時帰宅した。

カテゴリー:福島第一原発事故