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県産米売れるのか 消費者の敬遠懸念 坂下で早場米収穫開始、検査

会津坂下町で収穫された「瑞穂黄金」。乾燥後に放射性物質検査が行われる

 会津坂下町で22日、県内のトップを切り早場米の収穫作業が始まった。こうべを垂れる黄金色の稲穂を前にして、農家は浮かぬ顔を見せた。検査で放射性物質が検出されないか、不安を拭い切れないためだ。消費者には今年産の購入を避ける動きが出始めた。県は県産米の厳しい検査態勢を取るが、市場の信頼を得ることができるという確証はない。「収穫の秋」を控え、コメ農家に緊張が広がっている。

■離れぬ不安

 会津坂下町五ノ併地区の水田に育った極わせ種の「瑞穂黄金」。天候に恵まれ、今年は抜群の出来栄えとなった。農業生産法人会津みずほ農場取締役の谷沢禎昭さん(73)は、稲刈り機を操作しながら何度も祈った。「何とか検出されないでくれ。セシウムが出ないでくれ」

 一足早く早場米の予備調査が行われた隣県の茨城県鉾田市では、玄米1キロ当たり52ベクレルの微量の放射性セシウムが検出された。不安が心を離れない。

 会津みずほ農場が収穫したコメは乾燥した後、玄米の状態で25日に県の検査を受け、同日中に結果が判明する。ここで食品衛生法の暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超えると、地域全体の全てのコメが出荷停止となる。

 同法人取締役で、瑞穂黄金の販売を手掛ける猪俣泰司さん(61)は暫定基準値を下回った場合でも、消費者が敬遠するのではないかと懸念する。「微量でも(セシウムが)検出されたコメをどう扱うか。表示をどうするか...悩みは尽きないよ」と目を伏せた。

■売れる22年産

 「間もなく新米が入荷するというのに、こんなことは初めてだ」。須賀川市のJA直売所「はたけんぼ」店長の佐藤貞和さん(46)は、店の伝票を手に驚きを隠さない。

 6月以降、平成22年産の玄米が、例年の2倍以上に当たる1日約1000キロもの売り上げを記録している。8月初旬にはJAすかがわ岩瀬から仕入れている分が完売。急きょ、全農から他県産の精米を仕入れた。先週、再び地元の玄米を確保したが、売り切れを懸念して1人10キロまで販売を制限している。

 佐藤さんは原発事故の影響で、消費者が23年の新米を避けていると分析する。間もなく店頭に並ぶ早場米の安全性をどうPRするか名案は、まだ浮かばないという。

【背景】
 東京電力福島第一原発事故を受け、政府は県内でのコメの作付け制限に踏み切った。土壌1キロ当たり5000ベクレルを超える放射性セシウムが検出された場合、収穫された玄米から食品衛生法の暫定基準値を超えるセシウムが検出される可能性が高いためで、警戒、計画的避難、緊急時避難準備の3区域が対象となった。
 この結果、作付けが行われたのは48市町村。面積は、県推計で昨年より1万5000ヘクタール少ない約6万5200ヘクタール。県は水田を指定し、計2200点で放射性物質のサンプル検査を行う。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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