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もたつく学校除染 新学期目前、県内自治体 通学路変更要請も

伊達市梁川町の富野小では表土除去作業が進められているが25日の始業式までには完了しない見通しだ=23日午後5時ごろ

 夏休みに学校の施設を除染する県内自治体の取り組みが進まず、小中学生が2学期から安心して通学できる状況には至っていない。福島市は線量の高い通学路のルートを変更するよう各校に要請、郡山市も同様の対策を練るなど新たな対応を迫られている。国は除染の方向性を示しただけで、具体的な対応は丸投げしている現状が背景にある。23日に県内のトップを切って相馬市で小学校の始業式が行われ、25日には大半の小中学校で新学期を迎える中、関係者は国に一層の支援強化を求めている。

■未完了27校

 県や市町村は公立の小中学校、高校、幼稚園530校で校庭などの表土除去に取り組んでいる。このうち、今月末までに終了するのは503校で、残る14校は9月末まで、3校は10月末までかかる見通し。終了時期が未定の学校も10校ある。

 伊達市梁川町の富野小では23日も校庭の表土除去が行われた。同市は市内の全小中学校と幼稚園など61施設でほぼ除去を終えたが、除去土の埋設場所が確保できなかったり、学校数が多かったりして富野小を含む一部は25日の始業式までの完了が困難な状況だ。

 二本松市教委は校舎の除染のため今月上旬に市内の全小中学校23校に1台ずつ高圧洗浄機を配備した。しかし、配備が夏休み中だったため、大半は今月下旬から9月初旬ごろになるという。

■暫定措置

 通学路の除染作業は多くの市町村で遅れている。

 福島市は当初、今月上旬に市全域の除染計画を作成して除染作業を促進する計画だった。しかし、計画の策定は今月末か9月上旬にずれ込む見込みで、これに伴い通学路の除染も進まず、モデル事業として実施した渡利、南向台、大波の3小学校の学区にとどまっている。

 モデル事業で課題も浮き彫りになった。通学路の除染範囲は、沿道ののり面など広範囲に及ぶ。これらの除染で発生した大量の土砂をどこに保管するのか。国が最終的な処分方法を示さない中、市は各地区の市有地などに一時埋設する方法を検討しているが、町内会の理解を得るのは容易ではない。

 経費の問題も重くのしかかる。通学路の放射線量を低減するには沿道の民家などの除染を進める必要もあるが、敷地内の全てを除染する場合、一軒当たり40~60万円の費用がかかる。

 県は通学路の除草などは局所的な除染にとどまり、空間線量を大幅に下げるまでには至らないと指摘する。

 通学路対策として、福島市教委は公立の全72小中学校ごとに通学路の放射線量を測定しマップを作成。23日には通学路の見直しなど放射線量の低減策を各小中学校長に要請した。各校は2学期開始後に児童、生徒や保護者らに周知し、必要があればルートを変更する。担当者は「除染が完了するまでの暫定措置」と苦肉の策であることを明かす。

 郡山市教委も9月上旬にまとめる予定の通学路放射線マップを利用し、現状に応じて迂回(うかい)ルートを検討する方針。

 県は今後、通学路など子どもの生活空間の除染に取り組む団体に50万円を上限に補助する。担当者は「今後さらに除染活動は活発化する。財政支援や最終処分場の整備などを国の責任で進めてほしい」と訴える。

【背景】
 文部科学省は5月、毎時1マイクロシーベルト以上の放射線量が測定された校庭や園庭の表土除去費用について公立はほぼ全額を国が負担すると発表した。また、県は自治体の高圧洗浄機の購入費補助や側溝など除染すべき場所をまとめた手引きをまとめるなど対策を打ち出し、県内各自治体が校庭などの表土除去や校舎の洗浄に本格的に乗り出した。ただ、除染した際に発生した側溝の汚泥などは最終的な処分方法が示されておらず、各自治体は一時保管の場所の確保に苦慮している。さらに、通学路で線量が高い場所の除染を実施するのが行政か町内会かなど主体が具体的に決まらず、足踏みする要因になっている地域もある。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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