いわき市は4日、震災がれきの焼却処理に向け、焼却施設がある市内神谷地区の住民への説明会を市内の平六小体育館で開いたが、住民が反対し、理解は得られなかった。
神谷地区には、市が震災がれき焼却を計画している市内2カ所の清掃センターのうち、北部清掃センターがある。説明会には住民約350人が参加し、市の担当者が国の基準に基づき、処分可能な放射性物質濃度のがれきを焼却する計画やモニタリングの結果などを説明した。
質疑では、「焼却は安全と言うが、低レベルの放射線が与える影響は検証されていない」「放射線問題で孫も帰ってこないのに...。何でこの地区で燃やさなければならないんだ」「周辺の他地区への説明がないのはどういうことか」などと反対意見が相次いだ。
市側は「いわき市で出たがれきは、いわき市でないと処理仕切れない」と現状を説明し、「不安を払拭(ふっしょく)するための説明をしていきたい」と理解を求めた。
意見は説明会の終了予定時刻を過ぎても途切れず、終了後に市職員に詰め寄る参加者もいた。小学2年生の長女と参加した会社員女性(43)は「子どもの将来が心配。賛成できない」と話した。会場では、焼却反対の署名用紙も配られた。
地区の区長協議会は6日、話し合いの場を設け、協議会としての方針を決める考えだ。
県によると、東日本大震災で発生したがれきは各市町村に仮置きされたままの状態で、処理は進んでいないという。環境省は6月、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の不燃物や焼却灰を最終処分場に埋め立てることが可能との方針を示した。しかし、処分場付近の住民の理解を得るのが難しいとして、各自治体とも処理を進めていないのが現状だ。
(カテゴリー:福島第一原発事故)