全国13校の高校生ダンサーの熱演が休日の若者の街を沸かせた。フラダンスの技を競ういわき発の全国大会「フラガールズ甲子園」は4日、東京・秋葉原のアキバ・スクエアで初めて開かれ、本県の小名浜高といわき総合高が優秀賞に輝いた。震災で一時は大会参加を諦めかけた生徒たち。いわき市の炭鉱閉山の危機を救ったフラガールにちなみ、復興への願いを踊りに託した。
2年生4人で大会に臨んだ小名浜高が大きな花を咲かせた。優秀賞が告げられると、メンバーは涙をこらえることができなかった。「津波で大きな被害を受けた小名浜に明るいニュースを報告できる」。表彰式後、リーダーの山口仁美さんの笑顔がはじけた。
昨秋、チームを結成した。震災後は練習を一時中断したが、2週間に1回の合同練習と個人ごとにレッスンを重ねて踊りに磨きをかけてきた。1週間前にメンバーの伊東リナさん(2年)が右足のけがでチームを離脱するアクシデントが起きたが、追い込み練習で新たなダンスプログラムを身に付けた。
舞台では、課題曲「月の夜は」で情緒豊かなフラダンス、自由曲で息の合ったタヒチアンダンスを披露し、会場を沸かせた。山口さんは「来年も出場して、今度こそ最優秀賞を獲得したい」と決意を新たにした。
同じく優秀賞を受けたいわき総合高は、震災と原発事故の影響で神奈川県立綾瀬高に転校した松本杏樹さん(2年)と永池南さん(同)が特別に出場が認められた。
震災後、大会の中止が決まったが、6月に会場を変更して開催するとの知らせが届いた。再び仲間と踊れる喜びがこみ上げ、仲間との再会を心待ちに2人で練習を重ねた。
緊張の中でステージに上がったが、一緒にステップを重ねるにつれて表情も和らいだ。「まさか参加できると思わなかった。来年は綾瀬高でメンバーを集めて参加したい」。表彰式後、2人は充実した表情を見せた。
(カテゴリー:福島第一原発事故)