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【原発住民賠償】商品券 県南、会津のみ配布案 財務省は猛反発 政府内、足並み乱れる

平野文科相に賠償の実現を求める要望書を手渡す佐藤知事(右)=19日午前、県庁

 東京電力福島第一原発事故で、政府は19日までに、全県民を対象に検討してきた地域限定の商品券(地域振興券)の配布地域を賠償の対象外となった県南・会津地方のみとする方向で検討に入った。費用を抑え実現を目指す経済産業省の思惑が潜むが、財務省は対象外へ配布することさえ「ばらまき」と猛反発し政府内の足並みが大きく乱れている。全県一律の賠償を願う本県関係者の思いは翻弄(ほんろう)され続ける。

■待ちぼうけ
 佐藤雄平知事は19日朝、大臣就任後初めて来県した平野博文文部科学相をぶぜんとした表情で出迎えた。
 「(賠償の対象外となった地域の支援は)すぐにでも対応してもらえると思ったが、まだ実現していない」と佐藤知事。地域振興券をめぐり政府内が揺れていることを知る平野氏だが、「いろいろな対応が遅くなって申し訳ない」と平謝りするだけで議論の深まりは見られなかった。
 佐藤知事は昨年12月22日、枝野幸男経済産業相から「通常国会前に支援策を示す」との言質を取った。しかし、国会召集が週明けに迫った現在も国が方針を打ち出さないことにいら立ちを募らせている。
 「待ちぼうけを食らい、知事の国に対する信頼は大きく揺らぎ始めている。県との関係が悪化しなければいいが...」と側近は案じた。

■模範解答
 野田佳彦首相が8日、来県した際、随行者は1冊の「想定問答集」を持ち歩いていた。 県、市町村、マスコミ関係者から「(賠償対象外の住民に向け)地域振興券を配布すべきでは」と問われた際には、「消費の先食いで消費喚起の効果が低い」「市町村や事業者に過重な事務負担をかける」など消極的に答えるよう「模範解答」がつづられていた。
 国会関係者は、この内容について「ゼロ回答を目指す財務省の意図を感じる」と打ち明ける。地域振興券の配布を認めれば、宮城、茨城、群馬など他県からも同様の対応を求める声が出て予算が膨らむことを同省は懸念しているという。県職員は嘆く。「霞が関は早くも、福島の痛みを忘れかけようとしている」

■最終作戦
 大臣自ら、賠償の対象外となった住民に支援策を講じることを約束した経産省は、地域振興券配布に1点突破の望みをかける。
 現金給付では「国家予算のばらまき施策」との批判を免れないと判断したためだ。方針を変更し、対象地域を絞ることで予算を抑え、財務省側に自省の案をのませる作戦に出た。有力国会議員を通じて官邸に働き掛ける動きもあるという。
 一方の財務省も必死だ。財務相を務めていた野田首相とのパイプは太く、抱き込みにかかっているという情報が流れている。
 県幹部は「最後は首相の政治判断。福島再生に懸ける国のトップの『本気度』が分かる」と結論を待つ。

【背景】
 東京電力福島第一原発事故で、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は昨年12月、避難区域以外の自主避難者らの賠償指針を決定。県南・会津地方を除く23市町村が対象で、妊婦と18歳以下の子どもは1人当たり40万円、それ以外は一律8万円の支払いを認めた。これに対し、対象外となった26市町村が猛反発、今月18日には県内全域での賠償を求める「県白河地方・会津地方原子力損害賠償対策本部」を設立した。県も県全域を対象にするよう政府に要望。枝野幸男経済産業相は24日召集の通常国会前に、救済措置を示す方針を明らかにしている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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