東日本大震災

「3.11大震災・断面」アーカイブ

  • Check

【汚染砕石問題】業者「出荷基準早く」 風評拡大懸念 東電に賠償請求へ

現状説明を受け、対応を協議した県採石業協会砕石部会の緊急会議

 放射性物質に汚染された疑いのある砕石が出荷された問題で、砕石業者に風評被害拡大を懸念する声が強まっている。出荷基準がないことが、風評に拍車を掛けかねないとして、業界団体は早期策定を国に求める。その上で、東京電力への賠償請求を視野に入れる。県も基準の必要性を強調するが、国の策定作業はなかなか進まないのが実情だ。

■測定結果どう評価
 「われわれは被害者だ」。20日、郡山市で開かれた県採石業協会砕石部会の緊急会議で、出席者の1人が語気を強めた。
 県内各地の砕石業者が厳しい表情で臨んでいた。宗像忠人会長が訴えた。「県外の取引先から安全性について問い合わせが相次いでいる。安全基準が決まらなければ、疑心暗鬼が連鎖し、風評被害が広がるだけだ」
 部会加盟の県内34社のうち、浜通りに本社がある6社は休止状態だという。残る28社のほとんどが、砕石汚染問題の発覚以降、自ら石などの放射線量を測定し、結果を取引先に示すようになっている。しかし、国の安全基準がないため、測定結果を、どう評価していいのか分からない。「相手から『本当に安全なのか』と聞かれると、それ以上は何も言えなくなってしまう」。業界関係者の1人は打ち明けた。
 部会は出荷できる砕石の安全基準値を早期に定めるよう国に要望することを決めた。

■やりきれない
 「震災後、復興のために早く道路を通そうと、休まず働いたのが裏目に出るなんて...」。ある砕石会社の関係者はやりきれなさを口にする。
 業界は汚染砕石問題が発覚する前から東京電力福島第一原発事故による風評被害に見舞われてきた。出荷先は県内以外に宮城県や茨城県に及ぶが、「福島県産」というだけで敬遠されることもあるという。今後、さらなる悪化への懸念が業者の間に広がる。
 「地道に取引先の理解を求めていくしかない」と宗像会長。今回の問題で同様に被害を受けた建設会社や生コン会社と調整しながら、実害と風評被害の被害額全てを東電に賠償請求する考えだ。

■線引き難しく
 県は石の用途が生活に身近な建材などについて、放射線量が高かった場合には出荷停止も検討する考えだ。
 しかし、国の安全基準が出ていない中で、県の職員は「線引きしようにも、できない。安全を担保する基準が必要だ」と強調する。
 一方、経済産業省の担当者は「基準作りは難しい作業になる」と指摘する。砕石の用途はコンクリートやブロックなどと幅広い。製品化された状態でどの程度の線量を示すかはまちまちだからだ。
 また、砕石は元来、自然放射線によってある程度の線量があり、基準を厳しく設定すると、多くの砕石業者が操業できなくなる恐れも出てくるという。
 国には安全基準の策定とともに、汚染が疑われる砕石の流通ルート解明も大きな壁として立ちはだかる。調べる対象が膨大で、作業の終わりは見えない。同省の関係者は内情を明かした。「安全基準の策定作業に手が回らない」

カテゴリー:3.11大震災・断面

「3.11大震災・断面」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧