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除染、健康で情報共有を 国際機関が福島復興セミナー

本県の復興につなげようと海外の研究機関の専門家らが集まった福島復興セミナー

 ロシア、ウクライナにそれぞれ本部を置く国際機関2団体は、除染・環境修復技術に学ぶシンポジウム最終日の4日、福島市のウェディングエルティで「福島復興セミナー」を開いた。チェルノブイリ原発事故後の各国の経験から、住民、行政、専門家が除染や健康管理などの面で、情報を共有していくことが本県復興に向けて重要になると提言した。
 ロシア、ウクライナ、ベラルーシなど海外の研究機関の代表、県内関係者らが「健康と農業の視点から」「教育、情報共有、行政の視点から」「住民、行政、専門家は一体になれるのか」の3テーマに分かれパネルディスカションを行った。
 このうち、1月31日に帰村宣言した川内村の遠藤雄幸村長は、住民の放射線不安を解消するためには時間がかかるとの認識を示した。住民と行政、専門家が話し合いを深めていくのが、住民の不安解消の近道であるとした。
 ベラルーシのブラギン地区中央病院のイハール・キレーニア内科医長はベラルーシと日本の医学会で放射線に関する研究成果を共有し、本県復興に役立てることを提案した。
 約200人が出席した。細野豪志環境相兼原発事故担当相、佐藤雄平知事らがあいさつした。日本原子力研究開発機構(JAEA)福島環境安全センターの石田順一郎センター長が福島の除染活動を紹介、福島市の冨田光政策推進部長が市内の生活圏における除染の現状と課題を説明した。金沢工業大の大場恭子研究員が福島復興に向けての課題と題し講演した。
 セミナーは日本や米国などが資金を出し、科学技術支援を目的に設立したロシアの国際科学技術センター(ISTC)と、ウクライナ科学技術センター(STCU)が長年の除染などに関する研究成果を本県の復興に役立てようと企画した。3日には東京・千代田区のイイノホールで除染の技術的なシンポジウムを行った。
 「住民、行政、専門家は一体になれるのか」がテーマのパネルディスカッションでは、情報の受け止め方などについて議論した。
 遠藤雄幸川内村長は、政府から発表される放射線量の数値や基準が一人歩きして、住民に不安が高まったと指摘。政府に丁寧な説明を求めた。
 富岡町復興ビジョン策定委員会の三瓶一義委員長は、政府が原発事故の作業工程ステップ2完了を宣言した後も汚染水の流出トラブルが相次いでいることを挙げ、政府を批判した。
 JA新ふくしまの菅野孝志代表理事専務は、政府は場当たり的に対処するのではなく実態を把握した上で情報発信すべきとした。食品の放射性物質の基準が厳しくなることに対し、住民が安心できる説明が必要と訴えた。
 金沢工業大の大場恭子研究員が座長を務め、環境省福島環境再生事務所の森谷賢所長代行、JAEA福島環境安全センターの石田順一郎センター長、福島医大の神谷研二副学長、日本原子力学会クリーンアップ分科会の井上正主査もそれぞれ意見を述べた。
 「健康と農業の視点から」のテーマでは、ベラルーシで最も放射能汚染がひどかったゴメリ州の健康管理の取り組みを基に、パネリストが意見交換した。
 ベラルーシの医師が、ゴメリ州で行っている住民の健康診断について、「住民の理解なくしては健康管理は成り立たない」と、政府と住民との信頼関係構築の必要性を説いた。
 ウクライナの研究者が、放射性物質に汚染された土壌から植物への移行を減らすため、戦略的に農業をマネジメントすることを本県に提案した。
 「教育、情報共有、行政の視点から」のテーマでは、ベラルーシとウクライナの専門家が放射線教育の重要性について議論した。
 ベラルーシの担当者は、ベラルーシ国内に50カ所設置されている地方情報センターの取り組みを紹介した。
 地方情報センターは放射性物質に関する機材や資料がそろい、住民が食料品を持ち込んで放射性物質の測定をすることができる。
 チェルノブイリ原発事故後、住民に正しい放射線の知識を伝える拠点として、地方情報センターの役割が重要であると説明した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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