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【国の復興交付金】対象限定 申請滞る 1次18市町村のみ 解釈に開き 改善求める

 東日本大震災の被災地復興を支援する政府の復興交付金に対し、市町村から、対象事業を広げ、使い勝手の良い制度に改善を求める声が上がっている。先月末締め切りの1次募集で、事業計画を提出したのは県と18市町村にとどまった。交付対象を、震災と東京電力福島第一原発事故で住宅や公共施設などが甚大な被害を受けた地域に限定しているためだ。2次募集には41市町村が申請を検討しているが、認められるかどうかは不透明だ。

■擦れ違い

 復興特区法は本県の対象範囲を、県と県内の全59市町村と定めている。その上で復興交付金の対象を震災と原発事故で相当数の住宅や公共施設が消滅、損壊するなど著しい被害を受けた地域としている。これに対し市町村は、復興特区法に「東日本大震災は東北地方太平洋沖地震とこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう」と明記されていることを理由に、全県が対象と解釈していた。
 福島市は地震の被害を受けており、復興交付金を小中学校の耐震化や市道整備に充てるため、政府担当者と事前協議した。しかし、「津波被害がなく、地震の被害も少なく対象とならない」と告げられた。三島町と昭和村は防災連絡システムの導入や道路整備に交付金を活用するため申請を検討したが、「会津地方は震災と原発事故による被害が少ない」と断られたという。
 3市町村とも「県内全域が原発事故の被害を受けている。復興交付金が受けられない市町村が出るのは納得できない」と訴える。
 これに対し、復興庁は「復興交付金は、あくまで、震災と原発事故で物理的な被害を受けた地域の復旧事業に活用される。法の意義を誤解している市町村が多い」と説明する。
 福島民報社の調べでは、3月末予定の2次募集への申請を検討している自治体は41市町村ある。しかし、法の解釈をめぐる溝は埋まっていない。
 市町村が復興に活用できる交付金は他に、県が創設した県市町村復興支援交付金などがある。中通りのある自治体関係者は「復興の予算はいくらあっても足りない」と政府に柔軟な対応を求める。

■自由度

 復興交付金の使途は文部科学、厚生労働、農林水産、国土交通、環境の5省が所管する集団移転や市町村道整備など40の事業と、復興に効果があるとみられる関連事業が盛り込まれている。政府は「ひも付き補助金」と異なり、自治体の自由度が高い交付金としてアピールする。
 しかし、市町村からは不満の声が上がる。塙町はシイタケ栽培農家にビニールハウスの整備費を補助するため、復興交付金の活用を検討した。放射性物質の影響が少ない育成環境を整えるためだが、対象外と判断された。町総務課の担当者は「風評被害を払拭(ふっしょく)しなければ本県の真の再生はない。復興交付金を活用できないのか」と憤る。

【背景】
 政府は復興特区法に基づく復興交付金の財源として約2兆円の予算を確保した。交付対象は県と県内59市町村を含め11道県222市町村。沿岸部住民の高台への移転や市町村道の整備、津波被害地域の土地区画整理など国の補助事業40種に使え、地方負担は実質ゼロ。復興の効果を高める関連事業にも使える。計画期間は最長27年度まで。1月末に1回目の申請受け付けが行われ、本県の869億円を含め7県で4991億円の申請があった。政府は今月中に交付対象を決める方針。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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