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【県内避難者】いわきへ転居 殺到 仮設500世帯順番待ち 県の用地確保が難航

県立いわき公園内の広場いっぱいに建設された仮設住宅。建設用地が不足し、新たな住宅建設が難しくなっている=18日、いわき市・高久第8仮設住宅

 厳しい寒さが続く中、会津や中通りなど現在の避難先から温暖ないわき市に転居を希望する避難者が相次いでいる。市内の仮設住宅は約500世帯が入居待ちの状態だ。県は仮設住宅の着工を急いでいるが、用地確保がままならず、半数以上の入居が4月以降にずれ込む見通し。民間の賃貸住宅もほとんど空きがなく、異動シーズンの住宅不足も懸念される。一方、中通りでは仮設住宅の空きが目立ち、需要と供給のミスマッチが課題となっている。

■同じ浜通りに
 会津若松市に役場機能を移転している大熊町には、県内外の避難者から、いわき市の仮設住宅に入居を希望する問い合わせが絶えない。入居申し込みは増え続け、230件を超す。町いわき連絡事務所の佐藤恒寿所長は「降雪の少ない気候や同じ浜通りという安心感があるのでは。原発関連会社に勤務する住民が多いことや、町内の企業がいわき市に拠点を移していることも呼び水になっている」と分析する。
 いわき市に仮設住宅がある他の町村も、県内外の避難者からの入居希望が相次ぐ。楢葉町は131世帯、富岡町は100世帯、川内村は24世帯が希望しているが、まだ入居できていない。
 「厳しい寒さに、95歳になる母親の体調が心配」。会津美里町の仮設住宅で避難生活を送る楢葉町の宮本信茂さん(65)は、いわき市への引っ越しを考えている。
 昨年7月、母親と妻の3人で避難した。同じ仮設住宅の別棟には長男夫婦と孫4人が避難生活を送る。不慣れな土地での生活も家族の支え合いで乗り越えてきた。
 ただ、仮設住宅の窓のサッシが凍り、窓を開けられないなど雪国の生活への戸惑いは大きい。「1日も早く住み慣れた浜通りに移り住みたい」と漏らす。

■早く解決を
 各町村の要請に応じ、県はいわき市内への仮設住宅建設を急いでいる。しかし、用地の確保が難しく、急激な需要の伸びに対応できないのが現状だ。
 いわき市内には20日現在、県内の市町村で最も多い3071戸の仮設住宅が着工しており、建設用地が不足しているという。県建築住宅課の担当者は「建設地には水害の被害を受けない安全性や利便性、水道などのインフラの確保が欠かせない」と説明する。
 完成分を除く各町村の要請戸数は20日現在、大熊町で193戸、富岡町で80戸、楢葉町で195戸、川内村で20戸の計488戸。このうち着工したのは192戸で、残り296戸の完成は4月以降にずれ込む見込みだ。
 4月にいわき市内に小中学校を開設する楢葉町は、3月末までに完成する50戸に小中学生のいる世帯を優先して入居させる方針だ。1月末に市内に事務所を移設した楢葉町の秋山製作所の担当者は「住む場所がなく戻れない従業員もいる。一刻も早く問題を解決してほしい」と訴える。

【背景】
 県は災害救助法に基づき、被災市町村からの要請を受け、昨年3月23日から仮設住宅を建設している。20日現在の県内全体の完成戸数は1万6226戸。各町村からの建設要請は1万6810戸あり、584戸が不足している。地区別の完成戸数は浜通りが7617戸で最も多く、中通りは7456戸、会津は1153戸となっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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