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【24年産米 作付け】農家の協力不可欠 検査 実現性が鍵

 平成23年産米で放射性セシウムが1キロ当たり100ベクレル超500ベクレル以下の地域について、県は24年産米の作付けを進める考えを農林水産省に伝え、市町村と足並みをそろえる姿勢を示した。一方で、作付けの前提条件としたセシウム除去や全袋検査の徹底には農家や流通業者の協力が不可欠。高齢者や兼業農家など農家全体の意識統一をどう図っていくのかなど課題は残る。

■安全が最重要
 「関係者が一丸で取り組まなければ、全てが水の泡になる。それだけは避けなければならない」。作付け制限について農水省と協議を進める県農業担い手課の担当者は厳しい表情を見せた。
 当該地域の12市町村の56旧市町村には約8900戸の農家がある。だが、必ずしも"一枚岩"ではない。県や市町村によると、作付けに意欲的な地域が多い一方で、高齢化が進む集落や兼業農家が多い都市部などでは労力と時間がかかる安全対策に消極的な農家もいるという。伊達市霊山町の農家男性は「作っても売れる保証がないのに、手間をかける気にならない」と漏らす。
 県は市町村やJA福島五連と連携して技術指導や支援態勢構築を図り、協力を求めていく考えだ。同省穀物課は「県の思いは受け止めている。ただ、安全が担保されることがまずは最重要だ」とくぎを刺す。

■時間と人手必要
 県が基準値超のコメを出さない最大の安全策に掲げるのが全袋検査だ。23年産米の生産量は35万6000トン。袋単位(30キロ)に換算すれば、約1200万袋に上る。現在の測定器では、正確な測定に時間がかかるため、大手メーカーがより効率的なベルトコンベヤー式の開発に乗り出した。ただし、県水田畑作課の職員は「相当な量。今後導入するベルトコンベヤー式で行うにしても、時間と人手が必要だ」とする。
 県は台数は150台程度を見ているが、機械は開発中で、いつ完成して、1台当たりどれだけさばけるかは不透明だ。

■除染
 各市町村は除染計画に基づいて農地のセシウム除去に取り組む。しかし、春の耕作時期が迫る中、どの地域から優先的に実施するかなど決まっていない市町村も多い。全域で除染を行うある市の担当者は「各地の農家から一刻も早くやってほしいと要望があるが、間に合うかどうか」と頭を悩ませている。

【背景】
 県が実施した平成23年産米の放射性物質緊急調査では、29市町村の151旧市町村のうち、12市町村の56旧市町村で1キロ当たり100ベクレル超500ベクレル以下のコメが検出された。4月から食品のセシウムの基準値が1キロ当たり500ベクレルから100ベクレルに厳格化されることを踏まえ、農林水産省は100ベクレル超500ベクレル以下の地域の作付け制限について市町村と協議。作付け制限をかけることで信頼回復を図りたい同省と、生産意欲の維持などを理由に全域で作付けを望む市町村と調整が難航していた。JA福島五連も100ベクレル超のリスクが高い地域を除き、可能な限りの作付けを求めていた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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