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【今シーズンの県内】スキー場入り込み明暗 中通り 風評被害6割減も 南会津 低線量理解広がる

入り込みの明暗が分かれている県内のスキー場。落ち込みが激しい地域では宿泊施設などへの影響が広がっている=磐梯町のアルツ磐梯スキー場、昨年12月

 県内スキー場の今季の入り込みは地域などで明暗が分かれている。東京電力福島第一原発事故に伴う風評被害で昨季に比べ4~6割も激減しているスキー場がある一方、昨季並みを維持する所も。落ち込みが激しい地域では宿泊施設や飲食店、土産店の売り上げにも影響が広がっている。春の観光シーズンを控え、風評被害対策の強化を求める声も上がる。

■安全訴えに腐心
 「風評被害の克服はもう無理かもしれない」。天栄村羽鳥湖高原のグランディ羽鳥湖スキーリゾートの佐藤利幸支配人はため息をつく。利用客は1月末現在、同期比で昨季を40%近く下回っている。東京からのバスツアー客だけで約1000人も減った。スタッフを昨季の80人から50人に切り詰め、リフトの運行本数も5本から3本に減らし、コスト削減に努める。
 二本松市のあだたら高原スキー場は昨季より60%強もダウンしている。オープン前から首都圏や九州の学校のスキー教室などがキャンセルになった。近隣の岳温泉や土湯温泉では東日本大震災や原発事故の影響などで廃業した旅館・ホテルがあり、宿泊場所の確保が難しいことも、団体ツアーの減少に拍車を掛けている。同スキー場を運営する富士急安達太良観光の馬場淳一社長は「心配ないという状態をどうしたら利用者に理解してもらえるのか」と苦悩をにじませる。

 首都圏の利用客の比率が大きい磐梯町のアルツ磐梯では、県外からの修学旅行やスキー合宿などが減り、県外利用者だけで昨季より約35%も落ち込んでいる。県内利用者の減少幅は予想より小さいのが救いというが、担当者は「空間放射線量を毎日測定し、安全情報を発信しているが、スキー場単体の取り組みでは限界がある」と訴える。

■夏から続く苦境
 スキー場の利用者減は地域全体の観光産業にも影を落とす。「客足の減少は夏場から続く。今冬は雪が豊富で、期待する面もあったが、どうすることもできない」。猪苗代町で民宿を経営する男性は嘆く。
 スキー場に併設されているホテルでは、首都圏からの宿泊者が減ったことで、営業成績が悪化している。

■気は抜けない
 南会津町の会津高原高畑スキー場は1月末現在、昨季より213人多い1万2578人の入り込みを確保している。町内の会津高原だいくら、会津高原南郷、会津高原たかつえ各スキー場も昨季の9割程度を維持している。
 各スキー場の客層は北関東の個人客が多い。関係者の1人は「北関東の住民は本県に近いため、放射線量の低さをおおむね理解してくれている」と分析する。
 会津高原高畑スキー場を運営する「みなみやま観光」の社長を務める南会津町の渡部龍一副町長は「今後も気を抜かずに誘客に努めたい」と話した。
 喜多方市の三ノ倉スキー場も114人増えている。当初は大幅な減少が見込まれたが、市の補助を受け、市内の宿泊施設利用者のリフト利用料を無料にする対策が功を奏した。ただ、「補助枠を使い果たしたらどうなるのか」と担当者は不安も口にした。

■次の一手を
 県は特定の年齢層のリフト利用料を無料にするスキー場への補助制度を設けたり、県内施設の宿泊者に抽選で県産品セットを贈ったりして冬場の誘客増に努めている。観光庁も本県の風評被害の払拭(ふっしょく)に取り組み、25日には溝畑宏長官がアルツ磐梯に出向いてスキー客に再来場を呼び掛ける予定だ。
 県内は冬から春の観光シーズンに移る。観光関係者は「次につながるような新たな誘客活動が必要」と指摘した。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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