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【高速道無料化期限切れ】家族の絆 切るのか 自主避難者 反発 避難区域住民 10月以降に不安

3月末で東北地方の無料化措置が終了となる高速道路=24日午後2時50分ごろ、東北自動車道福島西IC

 高速道路無料化の期限切れに対し、県内の自主避難者らから反発の声が上がっている。東京電力福島第一原発事故による放射線の影響を懸念し家族が県内外に分かれて暮らし、週末などに高速道路を使って集まるケースは多く、「家族の絆を断ち切ろうというのか」と憤る。一方、避難区域の住民は延長措置に安堵(あんど)するが、10月以降の延長は不透明で打ち切りへの不安を口にする。

■兵糧攻め
 郡山市の栄養士、中村美紀さん(36)は原発事故後、目まぐるしく変わった放射線の安全基準など政府の対応が信頼できず、昨年8月に子ども3人を連れて山形市に避難した。夫は自宅に残った。今は避難した母親の会「山形避難者母の会」の代表も務めている。
 中村さんは地元や福島市で料理教室の講師として活動している。仕事で県内に戻るときは夫が山形市に来て子どもを世話する。移動には高速道路が欠かせない。最寄りの山形自動車道山形蔵王-東北自動車道郡山インターチェンジ(IC)間の通行料金は往復7000円。夫の分と合わせれば倍の1万4000円もかかる。高速道路が無料だからこそできることだった。
 4月以降は通常の料金を支払わなければならない。家計を考えるたび、怒りが込み上げてくる。「家族もなかなか会えなくなりかねない。国は私たちを兵糧攻めにしたいのか」
 休日を利用し高速道路を使って放射線量の低い地域に避難する家族も少なくない。県内で比較的放射線量が高い福島市の主婦(34)は事故後、子ども3人が外で遊べるよう、毎週のように会津地方へと向かった。「これから春になって出掛ける日が増えれば金銭的負担が大きい。今まで通り続けてほしい」と願った。

■評価と懸念
 無料化が継続された原発周辺地域の避難者も思いは複雑だ。無料実施が決まっているのは9月30日まで。東日本高速道路は「10月以降も継続するかどうかは、その時期が来た段階で検討する」としており、多くの避難者が無料化打ち切りを懸念している。
 福島市に避難している浪江町の会社役員の戸川聡さん(40)は週末ごとに、妻と2人の子どもが暮らす会津若松市に向かう。平日でも子どもが熱を出すなどした場合に高速道路を利用して駆け付けている。「無料化延長は助かる」と評価し、10月以降の無料化継続を強く望んだ。
 福島市の借り上げアパートに避難している富岡町の主婦(77)は夫と2人暮らし。慣れない土地での暮らしを余儀なくされ「寂しいから」と、高速道路を使っていわき市に避難している親類に時々会いに行く。「市内の水道料金が高くてトイレの水も節約している。無料化がなければ、とても出掛けられない。以前の暮らしを取り戻すまで無料化は続けてほしい」と訴えた。

■きょう無料化最後の日曜
 高速道路無料化終了まで1週間となった24日、本宮市の東北自動車道安達太良サービスエリア下り線は終日、東北各県に向かう人々でにぎわった。
 津波で亡くなった親友の墓参りに岩手県に向かうという茨城県那珂市の会社役員男性(48)は「東北地方に行くのに高速無料は、ありがたかった。有料になると気軽に出掛けられなくなる」と話していた。
 無料化打ち切りまでの最後の日曜日となる25日も多くの利用が見込まれている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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