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大熊全域「帰還困難」に 田村市都路は1日「解除準備」に再編

 東京電力福島第一原発事故の避難区域見直しで、大熊町の渡辺利綱町長は28日の町議会全員協議会で、町全体を放射線量が高く5年以上帰還することが難しいとされる「帰還困難区域」への指定を政府に求めたことを明らかにした。5年以内の帰還が可能な地域の住民は全体の5%程度とみられ、行政が機能しないと判断した。1つの自治体が全域を帰還困難区域にするよう国に要望したのは初めてで、町民の意見を集約し4月中旬にも結論を出す考え。一方、田村市都路町の警戒区域は4月1日付で「避難指示解除準備区域」となる見通しとなった。

 渡辺大熊町長は町全体を帰還困難区域とし、役場機能や小中学校などを現在の会津若松市から、大熊町に近いいわき市周辺へ移すことなどを想定する。
 福島第一原発が立地する大熊町は、放射線量に応じて原発周辺の町東部が帰還困難区域、中央部が居住制限区域、西部が避難指示解除準備区域に再編される見通しとなっていた。しかし、解除準備区域になる見通しの大字野上字中屋敷地区の住民は23人、居住制限区域に再編されることが有力な大字大川原、大字野上(字中屋敷以外)地区の住民は573人で、2区域合わせても住民は町全体の5%にとどまる。残る95%は帰還困難区域となる見通しで、渡辺町長は町内を分断することなく、同一の区域指定とするのが望ましいと判断した。
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が示した賠償指針では、精神的損害に対する賠償金について帰還困難区域は5年分一括で受け取ることができるのに対し、制限区域は2年分一括、準備区域は毎月払いになり、町民に混乱が生じることも懸念した。
 渡辺町長は全員協議会終了後、福島民報社の取材に「町全体が帰還困難区域になれば除染が遅れる可能性もあるが、大熊町は1つで、帰るときも一緒」と述べた。町議会と区長らの意見を聞いて4月中旬か下旬にも最終判断する方針。千葉幸生町議会議長は「町長の案には一理あるが、今後内容を検討したい」と含みを持たせた。

 避難指示解除準備区域に再編される見通しとなった田村市の警戒区域は、同市都路町の一部で住民は121世帯381人。
 28日に開かれた住民との意見交換会で政府と市は、解除準備区域と指定を全く受けない白地地域とする両案を示した。
 賠償が継続される解除準備区域指定を希望する住民が多数を占め、市は警戒区域を来月1日から解除準備区域にする方針を国に伝えた。
 一方、3区域に見直される南相馬市の再編は4月16日付で実施されることが分かった。政府が28日までに市に示した。
 避難区域で事業再開を望む市民が多く、市は早期の区域再編を政府に求めていた。ただ、防犯や生活基盤整備に一定の時間も必要だとして政府と再編日を調整していた。
 市は29日に市議会全員協議会を開き、再編案を示す。4月初旬に避難区域の行政区長を対象に説明会を開く。

 政府は30日の原子力災害対策本部会議で、既に4月1日付の実施が決まっている川内を含め、田村、南相馬の計3市村の避難区域再編を決定する。
 避難区域に指定されている11市町村のうち、川内村と田村市を先行して再編する。

 ※政府は年間の放射線量が20ミリシーベルト以下の地域を避難指示解除準備区域、20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下を居住制限区域、50ミリシーベルト超を帰還困難区域にする方針を打ち出している。

カテゴリー:福島第一原発事故

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