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【原発避難の死角(下)】住民の動き読めず 旧避難区域抱える市町村 詳細な見守り鍵

日中でも人通りが少ない川内村の中心部=28日午後3時ごろ

 東京電力福島第一原発事故に伴う旧緊急時避難準備区域の南相馬市原町区の民家から母子の遺体が見つかった問題で、同様に旧区域を抱える市町村は危機感を募らせている。帰還が始まった地域では住民の動きを読みにくいなどの課題が浮上し、行き届いた見守りや安否確認をしにくい状況だ。避難者の情報提供をめぐる制度の「壁」も浮かび上がる。

■届け出なく
 「誰が、いつ町に帰ってきたのか、分からなければ支援もできない」。広野町社会福祉協議会の担当者は、町民の帰還が途上の段階で見守り活動する難しさを口にする。
 旧緊急時避難準備区域の広野町では町民約5500人のうち現在、約260人が町内の自宅で暮らす。しかし、いわき市の仮設住宅で生活しながら、昼間だけ町内の自宅で過ごしたり、不定期で戻ったりする町民も多い。町に正式な届け出をせずに戻る人の中にも、見守りが必要な高齢者はいるとみられるが、全員の把握は難しいのが実情だ。
 町は町内で暮らす65歳以上の町民の実態調査を進めている。町社協は調査結果を基に戸別訪問などを本格化する考えだが、いつ自宅にいるのか、はっきりしなければ、効率的に訪問できない可能性もある。担当者は「多様な支援方法が必要になる」と頭を悩ませる。

■避難先と往復
 川内村も、村内の自宅と郡山市などの仮設住宅を行き来する住民が少なくない。村に届け出た住所は仮設住宅のままで、村の担当者は「自宅に戻っていることが把握できないケースが懸念される」と話す。
 現在、村民約3000人のうち村内に居住しているのは約300人。村は希望する1人暮らしの高齢者宅に緊急通報システムの電話を設置している。委託業者が週1回、電話をかけて安否を確認し、朝・昼・夜と3回続けて電話に出なかった場合は、協力員を任された近所の住民が様子を確認に行く仕組みだ。自宅にいて急病などの場合は子機のボタンを押すと業者側につながる。その他の高齢者宅は民間の防犯パトロール隊が巡回して見守りに努めている。

■大半が高齢者
 田村市都路町の旧緊急時避難準備区域には2月末時点で534人が自宅に戻っている。市は市社会福祉協議会や県などと連携し、昨年秋と、今年1月下旬の2回にわたって旧区域内の在宅世帯の生活実態を調べた。
 しかし、対象は市に正式に届け出をしている家庭だけ。他に世帯主以外の高齢者だけが避難先から戻って自宅で暮らしているケースもあり、居住の有無を完全に把握するのは難しいという。
 旧区域内ではまだ学校が再開しておらず、居住を確認できている住民も大半が高齢者だ。市の関係者は「戸別訪問の回数を増やしたり、行政区など身近な単位で交流できる場をつくったりする必要がある」と日常的な見守り活動の重要性を指摘する。
 一方、楢葉町の旧緊急時避難準備区域には現時点で居住者はいない。町内の警戒区域には3世帯4人が住んでおり、町は3週間に1回程度、飲料水を運んだ際に安否確認をしている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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