■消費者の安心
消費者の基準値厳格化の受け止めはさまざまだ。小中学生の子ども2人を持つ郡山市の会社員男性(40)は内部被ばくが心配で県内産の農作物を一切食べさせていない。厳格化を評価する一方で、「基準が変わっても、県産農作物を進んで子どもに食べさせる気はしない」と打ち明けた。
一方、福島市のホテルのレストランマネジャー、河野俊裕紀さん(29)はホテルでできるだけ地元産の食材を使っている。原発事故後、客から食材の産地を尋ねられることが多くなった。安心のため県内産食材の放射性物質の検査証明書のコピーを提示している。新基準を受け「自信を持って県産食材を使う」と力を込めた。
厳格化についてコープふくしま常務の宍戸義広さん(53)は「安心につながるのであれば必要だろう」としながらも「県内の農家が、さらに苦しむことにならないか」と懸念した。
福島市内を中心にスーパーマーケットを展開する「いちい」は昨年夏、独自に食品の基準を1キロ当たり100ベクレルに定め、測定を始めた。結果を公表しており、関係者は「既に新基準の水準を先行している。客からは『安心感がある』と好評だ」と説明した。
■引っ越し作業
自家消費の食品の検査を担当する市町村は、新基準による検査開始に向け、受け入れ準備を進めている。
西郷村は放射線検査態勢を強化するため、4月から簡易測定器を現在の5台から6台に増やす。現在の測定室が手狭になるため29、30の両日、文化センター内の別の場所に移動させた。従来よりも厳しく測定するため、外部との遮断を強化した。
(カテゴリー:3.11大震災・断面)