東日本大震災アーカイブ

【避難区域の市町村】早期退職増える 業務拡大、原発事故も影響

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から1年余りがたち、避難区域を抱える市町村などで退職する職員が増えている。復旧・復興業務の拡大や、原発事故の影響が背景にあるとみられる。南相馬市は職員の12%以上が早期退職する事態となり、行政サービスの停滞が懸念されている。役場機能の移転を余儀なくされた双葉郡でも退職者が相次ぎ、復旧事業を進める上で職員の確保が大きな課題になっている。

■焦り
 「市の財産である職員を次々と失い、自治体が崩壊しつつあるとの恐怖感がある」。南相馬市の桜井勝延市長は焦りを募らせる。
 市では今春、全職員約830人のうち101人と全体の12・2%が早期退職した。体調不良や家族の避難が主な理由で前年度の5倍近くに及んでいる。このうち68人は医師や看護師などの医療職員で、多くが原発事故の影響を心配したとみられている。定年退職者を含めると138人に上る。
 今年度は一般行政職を11人採用したが早期退職による減少分は埋め切れない。一方、除染、復興に向けた都市計画づくりなど業務は増えている。震災前とは違い、夜間や土、日曜日に市民に向けた説明会を開くなどし、役所では連日夜遅くまで机に向かっている職員もいる。
 今月からは災害時相互援助協定を結んでいる東京都杉並区から職員30人の応援を受けている。ほかの県外自治体にも派遣を求めていくが、派遣元となる自治体も職員数に余裕はなく、今後いつまで支援を受けられるかは不透明だ。
 また、避難区域外だが、津波被害の対応などに追われるいわき市でも23年度は早期退職者が132人に上り、前年度より54人増えた。ただ、市は「震災の影響かどうか、詳しく分析はしていない」としている。

■職員確保に課題
 役場機能移転を余儀なくされた双葉郡8町村など避難区域を抱える他の自治体も同様で復旧作業などへの影響が心配されている。
 浪江町は3月末までに全職員の8・3%に当たる14人が退職し、うち5人は体調不良などによる早期退職だった。今年度は震災対応に追われて新規採用の見送りを余儀なくされたため、県の緊急雇用対策事業などを活用し、補う方針だ。
 ただし、避難区域の見直しで復旧工事などの業務が増える可能性がある。多くの職員を現場に回せば、町民の生活支援サービスが低下する懸念がある。担当者は「臨時で職員を雇用しても、専門的な知識が求められる職場に配置できず、機能強化には至らない」と心配する。
 23年度に10人退職した双葉町の新規採用は一人だけ。浪江町と同様、採用業務に手が回らなかったためだが、担当者は「職員が減る影響は大きいが、限られた中でやるしかない」と苦しい胸の内を明かした。

【背景】
 双葉郡8町村と避難区域を抱える4市町村のうち、今年度の新規採用が最も多かったのは南相馬市の30人で、田村市が19人と続いた。このほか、広野、楢葉両町が各5人、川俣町4人、富岡、双葉、飯舘各町村1人。川内、大熊、浪江、葛尾の各町村は新規採用がゼロだった。

カテゴリー:3.11大震災・断面