東日本大震災の被災者向け公営住宅として県内トップを切って相馬市に完成した「相馬井戸端長屋」第1号棟の鍵の引き渡し式は9日、同市馬場野の現地で行われた。
市内に工場を有する米国の化学大手「ダウ・ケミカル」が建設して寄贈した。仮設住宅を経て入居する被災高齢者の孤立化防止を目指し、共有スペースの確保などの工夫を凝らした施設で12世帯が入居できる。現在、60~80代の8世帯10人が入居を希望している。11日ごろから順次引っ越す。式では立谷秀清市長が「共有施設を有効に使い、仲良く暮らしてほしい」とあいさつし、入居者に鍵を手渡した。
市内磯部の自宅を津波で流失した河西五月さん(82)・富子さん(80)夫妻は市内の北飯渕仮設住宅から移り住む。聴覚障害を持つ夫の生活を考慮し、介護サービス対応も可能な同長屋の建設計画を知った当初から関心を抱いていた。建設現場を13回も見学に訪れ、「二人でここで暮らせたらいいね」と願っていたという。「心待ちにしていた」と新生活のスタートを喜んだ。
(カテゴリー:福島第一原発事故)