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【町境近くに設置】桑折の仮置き場 搬入宙に 伊達市民 「説明遅い」と反対 桑折町 市幹部に事前報告

桑折町が確保した仮置き場。周囲は塀に覆われ、中では重機などを使った受け入れ準備が進む

 東京電力福島第一原発事故に伴い、桑折町が町内伊達崎地区に設けた仮置き場への除染土壌などの搬入が宙に浮いている。同地区に隣接する伊達市の住民が反対しているためだ。町は町内の近隣住民に説明した上で7月中に設置したが、伊達市の住民らに説明したのは今月9日。住民らは「説明が遅い」と反発している。町は再度、説明会を開く予定だが、理解を得られるかは不透明だ。

■署名480人分 
 桑折町の仮置き場設置に反対しているのは、伊達市の梁川町向川原と保原町下中瀬町の両地区住民。撤回を求める署名約480人分を集め、町に提出した。
 「行政に対する不信感は募るばかり」。梁川町向川原大字会長の草野等さん(60)は「町有地とはいえ、隣接する地域住民に説明もなく仮置き場を設置した」と不満をあらわにする。
 すぐ近くを流れる阿武隈川の増水などで放射性物質の汚染土が周囲に流れ出す危険性などを指摘。「仮置き場の必要性は理解できるが、なぜここなのか」と疑問を投げ掛ける。
 一方、桑折町の渡辺美昭原発事故対策室長は「仮置き場の設置は伊達市側に内密に進めたわけではなく、事前に市の幹部に報告していた」と説明する。その上で、国のガイドラインに沿った安全対策を講じて設置していることを強調する。
 町は説明会後、伊達市の住民の指摘を踏まえ、設置場所の地質などをあらためて調査した。今月末にも再度説明会を開き、調査結果に基づき安全性への理解を求める考えだ。

■早く運んで 
 桑折町伊達崎地区は、町内でも比較的線量が高い地域で、町は重点的に除染を進めている。各家庭や集会所などで次々と表土除去などが行われているが、汚染土は行き場を失い、それぞれの敷地内などに現場保管して急場をしのいでいる。
 町は町内に約100カ所設ける予定の仮置き場のうち、伊達崎地区の仮置き場に約5000立方メートルの汚染土などを保管する計画だ。伊達市側の住民の理解が得られるまで搬入を控える考えだが、現在進めている除染作業は計画通り進めるという。
 伊達崎地区の農業女性(61)の自宅は今月中旬に除染が完了したが、伐採した植木や除去した表土などは敷地内の畑に保管している。「農産物に影響があるのではないかと心配。早く仮置き場に運んでほしいというのが本音」と打ち明ける。
 町はこのまま搬入できない状態が続いた場合、別な場所に一時的に保管する「仮仮置き場」の設置も検討する。

■説明どこまで? 
 県除染対策課の遠藤浩三課長は「仮置き場が設置された後に搬入できないケースは聞いたことがなく、好ましい事態ではない」と受け止める。
 桑折町が設置前に伊達市側の住民に説明しなかったことについては「どこの範囲の住民まで事前説明をするかは各市町村が地域の実情に応じて判断すべきで、県で統一的に決められない」との見解を示す。ただ、今回の事態を受け、隣の自治体の住民への説明も必要な場合があることを今後の対応に反映させる。
 県は「住民の同意は仮置き場の設置条件ではないが、理解を得る説明をする必要がある」(生活環境部)との立場で、桑折町に対し、伊達市側の住民にも理解される安全対策が講じられるよう、技術的なアドバイスをする考えだ。

背景
 桑折町は7月、町内伊達崎地区の町有地に約9000平方メートルの仮置き場を設置した。町は設置前に伊達崎地区の住民らを対象に説明会を開くなどして設置計画を示し、理解を得た。一方、伊達崎地区に隣接する伊達市の住民は「説明がない」として反発。町は伊達市の住民の求めに応じて今月9日に説明会を開き、高橋宣博町長が説明会開催の遅れを謝罪した。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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