東日本大震災アーカイブ

戻らないでなく「戻れない」 区域再編で浪江町長 安全生活整備に5年

 浪江町の馬場有町長は10日、原発事故による避難区域の見直しが行われても「『戻らない』のではなく、安全に生活できるまで時間がかかり、今後5年は戻れない」との見解を示した。二本松市で開会した9月定例議会の一般質問に答えた。
 馬場町長は、年内にも国の避難区域再編案を受け入れる方針を示した上で「原発事故の収束を前提に、除染で安全な放射線量に達し、道路や上下水道などのインフラ復旧など生活基盤が整うまで時間がかかる。区域再編を受け入れても軽々しく避難指示の解除はできない」と述べた。
 また、9月中に町復興計画策定委員会がまとめる復興計画案を、10月に町議会の承認を得た後、町民説明会の席上で「5年は戻れない」ことを説明すると答弁した。
 浪江町は放射線量に応じ、帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編される見通し。
 国と東電が示した家屋や土地などの財物賠償基準では区域ごとで額に差が出るが、浪江町は一律の支払いを求めている。実際の避難指示解除が原発事故の発生から6年たつと、住宅は全損扱いとし、全額が賠償される。

■二本松の浪江町役場仮庁舎 来月から業務
 浪江町の9月定例議会は10日、二本松市の自治センターで開会し、会期を21日までの12日間と決めた。馬場町長が行政報告を行い、二本松市平石高田工業団地に建設中の役場仮庁舎で10月1日から業務を開始することを報告した。
 11日は、馬場町長が前年度決算認定や今年度一般会計補正予算など20議案を提出し、理由を説明する。

カテゴリー:福島第一原発事故