1070億円に上る予算不足により約120件に上る採択保留案件が発生した「ふくしま産業復興企業立地補助金」の予算増額に向けた検討が政府内で始まった。平成24年度補正予算での対応を視野に入れていることを、複数の政府・与党関係者が10日、明らかにした。
民主党の大島九州男副幹事長(党福島県対策室長代理)は同日、福島市で記者団に、政府と県が共同で採択案件の補助額精査や補助率の再検討を行っていることを明らかにした上で、「補正での対応は大いに可能性がある」と述べた。一方、別の政府関係者は福島民報社の取材に、「県と政府の案件精査の先に補正予算で対応する可能性が見えてきた」と見通しを語った。
一方、予算増額に向け政府側と協議を続けてきた県関係者は、当初、増額は極めて困難だとしてきた財務省などが態度を軟化させているとしている。
ただ、民主党代表選と自民党総裁選も絡み政局は流動的で、補正予算編成の議論は浮上していない。採択案件の事業内容の精査によって県が圧縮可能と判断したのは36億円にとどまり、不足額の1070億円と大きな開きが生じている。補正への予算計上が決まった場合でも、不足分満額の補填(ほてん)が実現するかどうかは不透明だ。
(カテゴリー:福島第一原発事故)