■南相馬市鹿島区北右田 竹花精さん 74
「おまえがいなくては何もできない」。精(つとめ)さんは10年前、膝を手術した妻義子さん(76)の治療とリハビリのため、自宅と病院を往復する日々を続けた。夫婦でコメ作りに励み、2人の子どもを授かった。昨年3月11日、自宅で津波に遭い行方が分かっていない。
同じ年の義子さんと高校卒業後、結婚。農業にいそしんだ。義子さんが膝を手術した後は、自宅をバリアフリーにリフォームした。「将来は車椅子だろうから...」。口数は少ない精さんだったが、家族を思う気持ちに義子さんは感謝が尽きなかった。
平成19年、金婚式を迎えた。2人で撮った記念写真は、流されることなく、無事に残った。義子さんは「思い出が宝物」と鹿島区の仮設住宅で大切に保管している。
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