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【巨大津波 遅れた対策17】地層に「貞観」の痕跡 歴史、教訓語り継ぐ

貞観津波が運んだとみられる地層を相馬東高の生徒に説明する高橋氏(右から2人目)=平成23年12月

 相馬市にある相馬東高で昨年12月、外部講師による特別授業が行われた。招かれたのは、南相馬市の庄建技術で技師長兼技術部長を務める高橋正則(63)だった。
 高橋は地面を掘り起こした地層の標本を見せた。相馬東高グラウンドの下の地層で、貞観(じょうがん)11(869)年に本県沿岸部を襲ったとみられる津波の痕跡だった。巨大な津波は数百~1000年近い間隔で繰り返しているとの見解を分かりやすく紹介した。

■1メートル間隔
 庄建技術は昨年10月、県の委託を受け、東日本大震災で地盤沈下した相馬東高グラウンドの地質を調べた。グラウンドには、地面を深くまで採掘するボーリングマシンが並んだ。
 高橋は現場で作業を指揮した。11年ほど前に東北大の研究者から聞いた貞観津波の研究成果を思い返していた。東北大の調査で、相馬東高のすぐ近くで行われた6号国道バイパスの工事現場から津波の堆積物が見つかっていた。「グラウンドの下にも堆積物が残っているはず」。地質調査とは別に採掘して教材にすることを学校側に提案し、快諾を得た。
 グラウンドは約2メートル盛り土され整備されていた。その下の地層を掘り下げた。東北大の調査を基に高橋が想定していた通りの深さの地層から、15センチほどの厚さで海から運ばれたと考えられる砂の層が見つかった。
 高橋は長年にわたる地質調査の経験があり、専門的な知識を持っている。地層の深さや堆積した砂の特徴から、東北大が分析した貞観津波の堆積物と同じと推定できた。
 この地層を含む合わせて3メートルを採取した結果、約1メートル間隔で津波の痕跡とみられる砂の層がさらに2つ見つかった。高橋は「地層が堆積する速度が一定なら、津波の痕跡は、ほぼ1000年間隔で確認される」と見込んだ。
 ただ、貞観津波の時代より1000年程度さかのぼると紀元前となる。文献や科学的なデータは存在せず、当時の津波の詳細を知るすべはない。

■子孫のために
 相馬東高の特別授業で、高橋はグラウンドから採取した地層の標本と同時に、歴史書「日本三代実録」に残された貞観津波の記述を紹介した。東日本大震災の津波被害の写真も見せた。本県沿岸部を襲った津波の歴史や対策の大切さを語った。
 「遠い将来、巨大な津波が沿岸部を再び襲うかもしれない。われわれの子孫が備えるためにも、今回の津波を語り継がなければならない」。高橋は東日本大震災の教訓を住民が正しく受け継ぐ必要性を強調した。(文中敬称略)

 =第11部「巨大津波 遅れた対策」は終わります=

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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