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【避難区域のがれき処理】 手付かず、復旧の妨げに 仮置き場搬入3月末完了困難

 東日本大震災や津波による災害がれきの処理が、環境省直轄で実施する沿岸部の避難区域で、ほぼ手付かずとなっている。国が目標とした3月末までの仮置き場への搬入完了は難しい見通しだ。仮置き場の確保などが難航しているためで、地元市町や住民からは、社会基盤や農地復旧、住民帰還に影響を及ぼすとの懸念が出ている。

■先見通せず
 旧警戒区域で、現在は避難指示解除準備区域となった南相馬市小高区の塚原地区。26日、新藤義孝総務相が造成中の災害がれきの仮置き場を視察した。来月、避難区域の沿岸部として初めて搬入が始まる。しかし、市職員は「震災から2年もかかって緒に就いた。先は見通せない」と厳しい表情を見せる。
 県内沿岸部の10市町のうち、いわき市や相馬市、新地町で9割前後、広野町で8割弱の搬入を終えている。一方、避難区域が設定された南相馬、楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江の各市町は災害がれきが放置されたままだ。
 同省は平成26年3月末までに避難区域を含め全ての災害がれきを焼却や破砕、再利用するとしている。しかし、同省担当者は「現状では避難区域の沿岸部で目標達成は厳しい」とし、完了時期を見直す方針だ。

■障害
 「がれきが撤去されなければ、社会基盤や農地復旧、除染が進まない」。避難指示解除準備区域に再編された楢葉町の環境防災課職員は表情を曇らせる。
 がれきの仮置き場は沿岸部2カ所に造成中で、4月ごろには搬入できる見通しだ。しかし、焼却炉の建設地は決まっておらず、がれきの搬入、処理という流れが滞る恐れも。がれきが散乱したままでは、上下水道工事や農地の復旧の妨げになる上、除染もままならないと懸念する。
 全域が警戒区域にある富岡町も同じ思いだ。「原発事故から6年は帰らない」との方針を策定しているが、4万7千トンに上るがれきの処理が進まなければ、帰還時期がさらに遅れる可能性もある。

■住民理解
 がれき処理を担う環境省は、処理が進まない理由の1つに仮置き場や仮焼却施設用地の確保の難航を挙げる。除染に伴い発生する除染廃棄物とは異なるが、放射性物質による汚染の恐れがあるため、整備には住民への説明が欠かせない。
 地権者と候補地周辺の住民の一部から「汚染の恐れがあるがれきを集めるのは困る」との声が上がる。「住民理解を得ずに、強引に進めるわけにはいかない」。同省廃棄物対策課職員は打ち明ける。
 6市町のうち、南相馬、楢葉の2市町を除く4町は仮置き場の候補地を選定中か、設置に対し住民に理解を求めている段階だ。焼却施設の建設地が決まった市町はなく、避難区域の災害がれき処理は震災から2年が経過しようとする今も進んでいない。

【背景】
 環境省は昨年6月、放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、旧警戒・計画的避難区域が設定された地域(汚染廃棄物対策地域)を対象に、同省直轄による災害がれきや除染廃棄物の処理を定めた「汚染廃棄物処理計画」を策定した。他県や県内他地域と同様に平成24年度内をめどに災害がれきを仮置き場に搬入し、26年3月末の処理完了を目標に掲げた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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