復興庁は5日、東京電力福島第一原発事故に伴い避難区域が設定されている双葉、飯舘、田村の3市町村の住民意向調査の結果を公表した。帰還意向の調査では、双葉町は30・4%が「戻りたいと思わない」、飯舘村の27・8%が「戻らないと決めている」と答え、それぞれ最も多かった。田村市は除染完了後の帰還意向について、「条件が整えば震災発生当時住んでいた地区に戻る」が34・5%と最多だった。
双葉町の調査では、町への帰還について、「条件が整えば戻りたい」が28・4%、「現段階でまだ判断がつかない」が26・9%、「自宅の補修・再建、インフラ復旧が終わればすぐに戻りたい」が10・3%だった。町外コミュニティー(仮の町)での居住については「住むつもりはない」とする答えが42・8%と半数近くを占めた。仮の町の設置を希望する自治体はいわき市が最も多い64・0%、郡山市が15・0%、南相馬市が13・6%と続いた。
飯舘村の調査では、「戻らないと決めている」の27・8%に対して、「戻りたいと考えているが判断がつかない」が26・9%、「戻りたいと考えている」が21・9%、「分からない」が20・2%だった。村が福島市飯野地区に建設予定の村外子育て拠点に「入居を希望しない」のは59・1%で、「希望する」の18・5%を大きく上回った。帰村のための村内拠点への入居の意向調査でも、「入居を希望する」は14・2%で、「希望しない」の78・3%を大幅に下回った。
田村市での除染完了後の帰還意向は、10・2%が「震災発生時に住んでいた地区には戻らない」、「今はまだ判断できない」は30・0%だった。
調査結果の公表は、葛尾村、大熊町に次いで3回目。調査は復興庁と県、市町村が共同で、昨年11月から今年1月にかけて実施した。双葉町は中学生以上の全町民6293人を対象に実施し、3710人(回収率59・0%)が回答した。飯舘村は全世帯2985の世帯主が対象で、1523世帯(回収率51・0%)が回答。田村市は避難指示解除準備区域と旧緊急時避難準備区域の全世帯932の世帯主が対象。既に帰還した人を含め、603世帯が回答した。回収率64・7%だった。
避難区域が設定された市町村のうち、楢葉、富岡、浪江の3町でも実施し、復興庁が結果の取りまとめ作業を進めている。大熊町では2回目の調査が行われている。
既に公表されている大熊町と葛尾村の住民の帰還意向について、大熊町は45・6%、葛尾村は27・1%が「戻らない」と回答している。
(カテゴリー:福島第一原発事故)