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帰還へ手探り続く 大熊の先行除染を視察

農地の除染現場を視察する渡辺町長(手前)

 大熊町の渡辺利綱町長と町議らは22日、居住制限区域の同町大川原字南平で行われている先行除染の様子を視察した。渡辺町長は作業員を前に「復興への道筋ができ始めた」とあいさつし、除染で線量が大幅に低減した農地もあり、帰還に向けた一筋の希望の光が見えたことを強調した。一方で、除染が難しい森林などの現状も目の当たりにした。東日本大震災から、間もなく2年。町の復興拠点整備に向け、先行除染が続く大川原地区を取材した。(会津若松支社報道部・柳沼 郁)

 先行除染対象の28ヘクタールのうち、55%を農地が占める。黄金色に生い茂っていたセイタカアワダチソウが刈り取られ、重機を使った表土削りが行われていた。
 削る表土は10センチ。除去前の放射線量は毎時1・5マイクロシーベルトだったが、除去後に線量を測定すると10分の1の毎時0・12マイクロシーベルトまで低減した。渡辺町長は「数値として示され、効果を目で確認できた」と手応えも感じた。
 しかし、厳しい現実もある。約7ヘクタールの森林除染は、ほとんどが手作業だ。この日は落ち葉などの堆積物を除去する作業が行われていた。斜面崩壊や倒木などがあるため、農地のように10センチの表土除去はできない。
 視察前に行われた環境省からの事前説明では、除染をしても線量が1割程度しか下がらない場所があることも示され、現在も手探りの状態が続いている。
 作業員の多くは、地元出身者だ。会津若松市の仮設住宅から毎日、約2時間かけて現場に通う鎌田博展さん(43)=大熊町=は1月から作業に当たっている。「除染の効果は薄いのでは」と疑問を抱く町民の声を耳にする。しかし、「除染をしないことには町に戻れない。手探りの状態が続くが、今は効果を信じてやるしかない」と言い切る。
 4月以降には、居住制限区域と避難指示解除準備区域の本格除染が始まる。視察を終えた渡辺町長は「帰還に向けた第一歩を踏み出したばかりだが、確実に前に進んでいる」と話した。

カテゴリー:福島第一原発事故

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