東京電力福島第一原発で停電が起き、使用済み核燃料プールの冷却系が止まったトラブルを受け、県廃炉安全監視協議会は3日、同原発を立ち入り調査した。不具合を生じた仮設高圧配電盤や停電の復旧状況を確認し、廃炉作業などに向けて、あらゆるトラブルを想定した作業マニュアルの策定を求めた。
県が東電に申し入れた原因調査と迅速な公表、監視強化について取り組み状況を調査するために立ち入り、聴き取りと現地調査を実施した。
東電は原因について、高圧配電盤にネズミが接触したことで停電が生じたと報告。これに対し、専門委員の岡島成晃日本原子力研究開発機構安全研究センター副センター長は「停電が起こることを予測していれば防げたトラブル」と指摘。仮設の設備を本格的な設備に移行するまでの作業マニュアルの見直しの必要性を訴えた。
東電はマニュアル見直しを検討する考えを示した。この他に停電を迅速に復旧するために仮設の発電設備を増設することや9月に完了予定の供用プール冷却設備の電源二重化を7月に前倒しすることなどを伝えた。小森明生常務・福島第一安定化センター所長は「反省に基づいた対策を実行していく」と決意を語った。
終了後、長谷川哲也県生活環境部長は「復旧状況などは確認できた。今後の廃炉作業では事前にどのような問題が生じるかを踏まえて対応してほしい」と総括した。調査には専門委員と県、関係13市町村の担当者が立ち会った。汚染水から約60種類の放射性物質を取り除く「多核種除去装置(ALPS)」の状況なども確認した。
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