東日本大震災アーカイブ

「場当たり」不信増す 第一原発汚染水漏れ

古市生活環境部次長(右手前)に謝罪する東電福島本社の林復興推進室長(中央)=9日午後、県庁

 「場当たり的で先が見えない」。東京電力福島第一原発の1号貯水槽からも汚染水漏れが見つかった9日、県は東電を厳しく批判した。使用済み核燃料プールの冷却停止に続き、次々と明らかになる汚染水漏れ。東電は県などへの謝罪や説明に追われ、広瀬直己社長が現地入りする異例の事態となった。「いつになったら住民が安心できるのか」。立地町の首長や住民らはあらためて不信感を募らせた。 
 東電は9日午後零時半ごろに福島第一原発内の1号貯水槽の異常を確認し、同1時15分すぎに報道機関にメールで知らせた。「またか」。県庁内で同2時半から始まった緊急の東電の記者会見は重苦しい空気の中で始まった。険しい表情で駆け付けた社員は汚染水漏れの可能性を示す塩素濃度の急上昇を伝え、「県民の皆さんに心配を掛けて大変、申し訳ない」と頭を下げた。 
 同じころ、東京の東電本店では、トラブル対策の切り札として7日に設置した「福島第一信頼度向上緊急対策本部」を福島第一原発に移すことを決定。本部長の広瀬直己社長は陣頭指揮を執るために急きょ、本店を出て同原発に向かった。

カテゴリー:福島第一原発事故