根本匠復興相(衆院本県2区)は9日の閣議後の記者会見で、東日本大震災の被災地で復興事業を加速させるため、民法の財産管理人制度を活用し、自治体が所有者不明の土地を取得する際の時間を短縮する方針を明らかにした。通常の土地収用手続きでは数年かかるケースもあるが、数カ月で取得できるようにする。
集団移転先などに所有者の分からない土地があると、取得に時間がかかり事業が遅れる原因になっている。根本氏は「円滑な事業の推進に向けて思い切った対策を整える必要がある。住宅再建のスピードアップを期待したい」と述べた。
同制度では所有者が不在だったり、相続人が不明だったりした場合に、財産管理人が当事者に代わって土地を売却できる。自治体の申し立てを受け、家庭裁判所が弁護士や司法書士から財産管理人を選任。売却後、土地の所有者が現れれば、管理人から土地の代金を受け取れる。
復興庁は、法務省や国土交通省と協議を進めており、窓口となる本県の家裁などで書記官を増員する。県弁護士会や司法書士会にも協力を要請した。
県は今年度から海岸堤防の復旧や、防災緑地、道路の整備事業を本格化させる。県まちづくり推進課の担当者は「今後、土地の権利者が分からないケースが増えることが想定され、見直しにより用地取得が進むはず」と期待する。
根本氏は「被災地の要望に応えた対策が打ち出せた。今後も復興事業を加速化し、被災者が一日も早く安心して暮らせるように課題に柔軟かつ迅速に対応していく」と語った。
根本氏は土地取得の期間短縮のほか、防災集団移転事業の計画を変更する場合、変更内容が補助対象事業費の20%未満であれば審査を省略し、届け出だけで可能にする対策も発表した。
(カテゴリー:福島第一原発事故)