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趣味多彩な美術講師

■相馬市柏崎 宮西敦子さん(53)

 敦子さんは誰にでも親切で、思いやりがあった。料理や油彩、裁縫と趣味が多彩だった。
 「仕事で忙しいのに、いつも口に合う料理を届けてくれた」。夫(50)の母久枝さん(81)は、敦子さんがよく作った煮物を思い出す。敦子さんが頻繁に料理や野菜を届けたのは、久枝さんと久枝さんの夫昭雄さん(81)の体調を確認するためでもあった。「困ったら何でも言ってね」が敦子さんの口癖だった。
 敦子さんは青森県弘前市に生まれた。弘前大教育学部に進み、美術を専攻。結婚後は相双地区の高校の美術講師として教壇に立った。授業後も生徒と触れ合うのを大事にした。地区の美術愛好会に所属し、活動日には得意だった抽象画をキャンバスに描いた。
 敦子さんは震災当日、仕事が休みで美術仲間の家にいた。地震で自宅が気になり、急いで帰宅した。荷物を持ち出し、車に乗って避難しようとした時、車ごと波にさらわれたとみられている。約1週間後、家族は市内の安置所で敦子さんと悲しみの再会をした。
 久枝さんは「亡くなったという実感が湧かない。頼りがいのある人で、本当に心強かったのに」と語る。震災から2年余りが過ぎた今でも、敦子さんと似た容姿の女性を見掛けると、後を追いそうになる。

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